第19話 快適な生活には金がかかる

 神様活動を始めて1か月後。


 ログハウス内はポイントで手に入れた家電製品と鉱石力のおかげで快適になり、人間だった頃とほぼ変わらない、むしろそれ以上に住みやすい空間になっていた。


 ここは洗濯機や冷蔵庫、コンロ、掃除機、ガラス窓に絨毯など、とにかくあらゆるものがポイントさえあれば手に入る世界。

 おまけにスキルや神様アイテムまであるのだから、無理に働かなくてもハクと2人で楽しく暮らしていくくらい造作もない。


 そう思っていたのだが。


 一週間ほど前から、ポイントと所持金があまり増えなくなった。

 さらに、神様アイテムの効力は無限ではなく、何度か使ううちに力が弱まり、やがて消滅してしまう有限のものだったのだ。

 効力を復活させるには、新たに同じものを購入するか、リカバリー商品のあるものはそれを買って使用しなければならない。


 どこの世界でも、快適な生活には金がかかるらしい。


「それなりに活動してると思うんだが、ポイントと所持金が増えないのはどうしたもんかな」

「神様ポイントや所持金は、神様活動――つまり創造と構築への対価です。なので、同じことを繰り返してもあまり増えませんし、ポイントで購入したものをただ使用していても、それは活動とは認められないんです」

「そ、そうなのか……」


 もう少し早く教えてくれよおおおおお!


 ――なんて思ったが、自分が怠けた結果だ。

 ハクに文句を言うのは筋違いというものだろう。


「至らないモフモフでごめんなさい……」

「えっ?」


 ハクは黙り込むオレの心境を察知したのか、の目にうっすらと涙を滲ませている。

 こんな美少女に泣かれたら、どうしたらいいか分からない。


「いやいやおまえは悪くないよ。だから泣くな。なっ?」

「うう……これから挽回しますっ」

「よし、もっと神様らしい活動をして、この星を構築していこう」

「はいっ」


 人知を超えた力を手に入れて、こんな可愛い子に懐かれて、自分は特別な存在なのだとどこかで勘違いしていたかもしれない。

 オレはあくまで、本物の神様によって【神様】という役職を与えられたに過ぎないのだ。


 でも、だったら。

 その与えられた力を活用して、本物の神様顔負けの世界を作ってやろうじゃないか。


「決めたぞハク。まずはこのログハウスを中心に村を創ろう。そのためには既存の、元いた世界の技術を流用しているだけじゃだめだ。……そうか、【理の改変】は、実は神様活動をしていくうえですごく大事なスキルだったんだな」

「! はいっ!」


 さて、どんな村にしようか。

 せっかくなら、来てくれた人たちが幸せになれる村にしたい。

 そのためには土台をしっかりと作らなくてはだめだ。


 所持金とポイントは足りるだろうか?

 オレはステータスをチェックしつつ、今後の計画を練ることにした。


 名前:カミノ ハルト

 職業:神様 Lv.29

 スキル:【神様】【理の改変】【建築】【水】【炎】

 所有アイテム:【完全未開拓惑星】【何でもしてくれるモフモフ】【神様用の飴】【世界地図】【神様の土】【神様ロープ】【ブラックホールミニ】【物質転移シール】【神様の土リカバリー】

 所有ポイント:94150pt

 所持金:15500G

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