第18話 お湯と照明を手に入れた

【物質転移シール】は、3枚セット。


「やっぱり水道とシャワー、あと照明も欲しいよな。コンロは最悪後回しでもいい気がしてる。料理は外のかまどでもできるしな」

「そうですね」

「ただ、シャワーと照明はいいとして、水道をどこにどう設置するか……」


 せっかくなら洗面台代わりにもなる流し台として作りたいが、ここにはステンレスがな――あったあああああああ!!


「よし、包丁を量産するぞ!」

「!?」


 オレは包丁を【神様の土】に埋め、包丁の木を創った。

 包丁がそのまま実ったらどう収穫しようかとドキドキしていたが、巨大な落花生のような形状で量産できてほっとした。


 ハクが収穫してきた包丁の実から包丁を取り出し、それをさらに【神様の土】に埋めて量産を繰り返す。

 そしてログハウス内の流し台を設置したい位置に積み上げて――


「スキル【神様】!」


 包丁の取っ手が木でできていたため、上の台や流し部分はステンレス、下の引き出しなど収納部分は木という流し台が完成した。


「ほ、包丁が流し台に! すごいですっ!」

「あとはこの【物質転移シール】を貼るわけだが……これはそのまま水道の蛇口部分に貼ればいいのか?」

「そのシールに、水と書いて貼ってください」

「あ、なるほどな。ええと筆記用具がないな……」


 オレは100ptでボールペンを購入し、シールに「水」と記入して貼ってみた。

 するとシールがほのかに光を放ち、スッと消えた。


「き、消えたぞ?」

「それで成功です。蛇口から水を出してみてください」

「お、おう」


 蛇口のレバーを上げると、綺麗な水が出てきた。


「おおおおお! すげえ!!!」


 オレは再び包丁を埋めて実を収穫し、スキル【炎】で木の取っ手部分を焼き払ってからシャワーヘッドを作った。


「これってさ、物質転移ならホースもいらないのかな」

「水の出口さえあれば問題ないですよ」

「じゃあ、面倒だしとりあえずは壁に埋め込もう」


 スキル【神様】で壁に穴をあけ、そこにシャワーヘッドを固定した。

 そして「水」と書いたシールを貼る。


「これってお湯は出せないのかな」

「シールの2枚貼りもできますよ。今、ご主人様は流し台を生み出して水を通して、シャワーも作りました。所持金もそれなりに増えてるはずですから、シールを買い足しましょう」


 こうしてオレは、流し台とシャワーに給湯機能を追加した。

 照明はポイントでシーリングライト(5000pt)を購入し、天井に設置してみた。

 土と接していないとダメかと思ったが、ログハウスの土台が土に埋まっている影響か問題なく点灯。

 これで月明りに頼りつつ早寝する生活とはおさらばだ。


 名前:カミノ ハルト

 職業:神様 Lv.15

 スキル:【神様】【理の改変】【建築】【水】【炎】

 所有アイテム:【完全未開拓惑星】【何でもしてくれるモフモフ】【神様用の飴】【世界地図】【神様の土】【神様ロープ】【ブラックホールミニ】【物質転移シール】

 所有ポイント:24150pt

 所持金:8900G


 こうしてオレとハクは、みるみるうちに拠点を充実させていった。


 ――のだが。

 ポイントと所持金に頼る生活が長く続けられるほど、神様生活は甘くはなかった。

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