第17話 鉱石力は家電にも使えるらしい
ハクに出会い、神様活動を始めて3日目の朝。
昨日は完成したベッドでゆっくり眠れたため、朝から絶好調だ。
まあ、ハクは一緒に寝れないのを少し残念がっていたが。
しかしいつまでも女の子の体に包まれて寝るわけにはいかない。
「おはようございます」
「おお、おはよ。朝は果物でもいいか?」
「はいっ! あの、僕も手伝いますよっ」
「お、助かるよ。じゃあモモリンとイチゴを適当に取ってきてくれるか?」
「かしこまりました」
前世では夜中に帰宅し早朝に出かける生活で、少しでも睡眠時間を確保したいという事情から朝食を摂る習慣がなかった。
そのためか、朝がっつり食べると逆に体調が悪くなってしまう。
ハクは鉄鍋にモモリンを1つ、イチゴを10粒持ってきた。
「川で洗ってきました」
「ハクは気が利くなあ。ありがと」
ハクの頭をなでると、耳をピコピコさせて嬉しそうに頬を染める。
どうやらハクは撫でられるのが好きらしい。
イチゴはそのまま、モモリンは8等分にして4つずつ皿に入れる。
「あれ、そういや昨日使った皿、だよな? これ」
「はい。昨日のうちに洗っておきました」
「まじか。助かったよありがとう」
「これくらい【何でもしてくれるモフモフ】として当然です。えへへ」
最後の最後で気持ちが漏れてるぞ。可愛いなまったく。
もしオレに子どもがいたら、こんな感じなんだろうか?
言葉にするとありきたりだが、それでもそう思わずにはいられなかった。
「あ、そうそう。忘れてたけど、ちょっとおまえに聞きたいことがあるんだよ」
「はい、何でしょう?」
「おまえは、神様アイテムにどんなものがあるのか知ってるのか?」
「神様アイテムの情報は、卵に戻ると消去されてしまうんです。新たなご主人様がそのアイテムを買う資格を得ると思い出すんですけど、それまでは……。購入可能になるアイテムは、人によって違うんです」
「そうなのか」
「それぞれの適正や人間性を見ながら判断されているとかなんとか」
まあ、そりゃそうか。
たとえ金があったとしても、危険人物にあんなチートアイテムほいほい売ってたらどんな世界が出来上がるか分かったもんじゃないもんな。
「じゃあさ、人間界にある家電製品……って分かるか? それって、こっちでも使えんのかな。鉱石力を家電の電力にできないかなって思ってさ」
「できますよ。コンセントの先端を土に差し込めば使用可能です」
「おお! というか土に差し込むだけで使えるなら無料で使い放題じゃねえか!」
なんて素晴らしい星なんだ。
まあでも万が一枯渇したらすべてが終わりそうだし、無駄遣いはやめておこう。
この星の規模もまだよく分かってないしな。
名前:カミノ ハルト
職業:神様 Lv.13
スキル:【神様】【理の改変】【建築】【水】【炎】
所有アイテム:【完全未開拓惑星】【何でもしてくれるモフモフ】【神様用の飴】【世界地図】【神様の土】【神様ロープ】
所有ポイント:6150pt
所持金:7900G
現在のステータスはこんな感じだ。
「ご主人様、アイテムが追加されたようです」
「お、まじか」
【SHOP】を確認すると、神様アイテムが増えていた。
【ブラックホールミニ】5000G
【物質転移シール】3枚セット 3000G
「……なんだこれ?」
「これは! とっても便利なアイテムがきましたよ! 【ブラックホールミニ】は、言ってしまえば無限ゴミ箱です。何でも吸収して、なかったことにしてくれます。ゴミ捨て場とか、トイレとか、そういう場所に使うのがいいかと」
「おおお! それはいいな!」
「【物質転移シール】は、この世界にある特定の物質を長期に渡って固定で転移させられるシールです。水道やシャワー、コンロが作れます」
これはどっちも欲しい。
どっちも欲しいが……所持金が微妙に足りない。
でも、これまでの神様生活で気づいたことがある。
この世界、労働への対価が秒で入ってくる。
ということは――
オレは先に【ブラックホールミニ】を購入してトイレに設置し、再びすかさずステータスを確認した。
本来なら先ほどの買い物で2900Gになっているはずだが、神様活動の対価が入金され、所持金が5900Gになっている。
よっし!
オレは増えた所持金で【物質転移シール】を購入した。
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