第14話 これで風呂に入れるぞおおおお!

「……おまえその女神らしさを演出する声色と口調やめないか? もう本性バレてるから。今さら取り繕ったって意味ないから」

『取り繕ったって何よ! 私はれっきとした女神よっ! しかも結構いいとこのすごい女神なんだからねっ』

「いいとこのすごい女神ってなんだよ……」


『元人間の君に言っても分からないでしょうけど、私は名門神族の令嬢なのよ!? 偉いんだからっ!』

「あーはいはい分かったよ」

『投げやりね!? ……はあ。まあいいわ。態度は気に食わないけど、でもレベル10まで頑張ったのは褒めてあげる。ここまで頑張ったご褒美に、スキル【水】と【炎】を授けます』

「水! それは助かる!」


 木の風呂を作ったのはよかったが、どうやって水を運ぼうかと考えていたところだった。


『スキル【水】で水を出して、その中で【炎】を使えばお湯もできるわよ。【神様】で水をお湯に変えることもできるけど、このスキルは消費SPが高いから、別で代用できるものは代用した方がいいわ』

「そうなのか。珍しく役に立ったよありがとう」

『君は本当にいちいち一言多いわねっ! まあとにかく、引き続き頑張りなさい』


 女神フィーネは、それだけ言うと通信を切ってしまった。

 定期的にスキルやアイテムをくれるのはありがたいが、こっちから連絡を取る手段もあればいいのにと思う。

 まあハクがいるから大抵はどうにかなるけど。


「……ご主人様、いったい何者なんです?」

「え?」


 フィーネとのやり取りはハクにも聞こえていたようで、呆然とした様子で声がしていたステータス画面の方を見ている。


「僕たち【なんでもしてくれるモフモフ】は、役目を終えると神様に回収されて再び卵に戻り、次の出番を待ちます。なので今までにも多くの転生者を見守りサポートしてきました。でも、途中でこんなに神様の恩恵を受けられる転生者は初めてです」

「そうなのか?」

「転生前の面談でアイテムやスキルをもらうことはありますが、一度転生したらその先はノータッチというのが普通なんですよ」


 ――知らなかった。

 ああ見えて、それなりにオレのこと心配して気にかけてくれているのだろうか?

 まあ、なんかいろいろ手違いがあったっぽいしな……。

 ただの性悪駄女神と思っていたが、実はそんな悪いやつでもないのかもしれない。


 ステータス画面を確認すると、ポイントと所持金が上がっているほか、先ほどもらったスキル【水】と【炎】が追加されていた。


 名前:カミノ ハルト

 職業:神様 Lv.10

 スキル:【神様】【理の改変】【建築】【水】【炎】

 所有アイテム:【完全未開拓惑星】【何でもしてくれるモフモフ】【神様用の飴】【世界地図】【神様の土】【神様ロープ】

 所有ポイント:12750pt

 所持金:7200G


 ――最初は本気でどうなることかと思ったけど。

 少しずつ光が見えてきた、かな。


「よし、じゃあもう一仕事したら風呂の準備するか!」

「はいっ!」


 こうしてオレとハクは、ドアの取り付け作業と窓作りに取り掛かった。

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