神様の手違いで異世界の未開拓な惑星に転生させられたので、ここで神様始めました

第11話 ついに果物が誕生したぞおおおお！

「まず、拠点を囲むようにこのロープを張りたい。ハク、悪いけど、また木を切って持ってきてくれるか？」

「お安いごようです」

　ハクに集めてもらった木を使ってスキル【神様】で杭を創り、家の周囲に【神様ロープ】を張り巡らせていく。

　家の前は畑を作ることを想定して大きめに場所を確保し、周囲のまだ切り倒していない木も数本一緒に囲った。

「これでいいかな。【ステータス】！」

　オレは【理を改変】をタップして「【神様ロープ】の内側の木はすべて食用の果実を実らせる」と記入した。

　すると。

　一緒に囲っていた数本の木に、それぞれ違った果実がたわわに実った。

「早いな！　ハク、これ食っても大丈夫だよな？」

「理は絶対なので問題ないと思います」

「よっし！」

　オレは早速リンゴのような見た目の果実を木からもぎ、かじってみた。

　リンゴのようなモモのような、みずみずしく甘酸っぱい果実だ。

　昨日の夜食べて以降何も食べていなかったこともあって、空腹に爽やかな果実がより染みわたる。

「うまいっ！　たくさんあるからハクも食えよ。うまいぞ！」

「ではいただきますっ」

　ハクは1口食べると、僅かに驚いたような表情を見せた。

　そして無言のままあっという間に1つ完食してしまった。

「ごちそうさまです。とてもおいしかったです。これはなんという果実ですか？」

「ん？　あー、なんだろうな？　リンゴでもモモでもないけどどっちとも似てる気がするんだよなー。この惑星独自の果物なんじゃないかな？」

「では命名を」

「うーん……よし、モモリンにしよう！」

「おおー！　モモリン！」

　ハクは気に入ったのか、パチパチと拍手してくれた。

「こっちも食ってみよう」

　果実は3種類あり、モモリンのほか、レモンのような形をしたもの、イチゴのような形をしたものがあった。

「このレモンみたいなのは皮は無理そうだな。割ってみるか」

　オレは昨日作っておいたナイフ状の石でレモン（仮）を切ってみた。

　中はレモンにしては少し色が濃いきがするな……。

　果肉を食べると、少しオレンジのような甘さも感じられるレモンの味がした。

「レモンよりは甘いけど、でもこれはそのまま食べるには酸っぱいな……。でも料理には使えそうだ。こっちのイチゴは……お、これはまんまイチゴだな！　木になってるのが変だけど、味はイチゴの味がする」

「……ふむ。本当ですね。僕はこのイチゴのほうが好きです」

　一緒に食べ比べていたハクは、酸っぱさにふるふると体を震わせている。

「じゃあ、この酸っぱいのをオレン、イチゴは――まあまんまイチゴでいいかな」

「おおおー！　あっという間に3つの果物が誕生しましたね。すごいです！」

「これでとりあえず餓死は回避できるな――ん？　これは何だろ」

　果実は3種類だと思っていたが、その中に1本だけ、茶色っぽい固い皮に覆われた丸い果実をつける木があることに気づいた。

「……固そうだな。それに見たことない。食えるのか？」

「食用の、ときちんと明記していたので食べられるはずですが……」

「とりあえず切ってみよう」

　オレは恐る恐る、その茶色く固い果実を切ってみ――

　ってえええええええええええええええええ！

「え、待て待て待て待て。これ肉なんじゃ？」

　なんと、中には牛肉のような赤身の肉が詰まっていた。

「……牛肉っぽいな。いや、牛ではないけども。でも匂いは完全に牛肉だ」

「お肉が木になるのは珍しいことなんですか？」

「珍しいっていうか有り得ないだろ。いやでも、果肉っていうくらいだからこういうこともあるのか？」

　菜食主義者も真っ青な事態だな！？

　オレは常識を覆され、何が何だか分からなくなってきた。

　が、それでも肉が手に入ったというのは嬉しい。

　こうなってくるとあれだな。火がほしいな！！！