第7話 新たなスキルとハクの力

「建築用の木ってどんなのがいいんだ?」

「いろいろありますが、ここはスキル【神様】で世界の理を作ってしまうのがいいかと。木なら何でもOKにしちゃった方がラクですから」


 スキル【神様】すげえな!

 世界の理を改変することなんてできるのか!

 いや、そもそも【完全未開拓惑星】なわけだし、理自体が存在しない?


「でもまだレベルが低いので、1日1つしか改変できないみたいです。なのでスキルの使用は慎重になさってください」

「分かった。まあでもとりあえず、ハクの言う通り木を使えるようにした方がいいよな?」

「そうですね。僕はそう思います」


 なら――! えっと。


「……それってどうやるんだ?」

「【SHOP】に商品が追加されてます」

「ええと……この【神様用の飴】ってやつか? なんだこれ」

「これを1つ食べると、使える神様スキルが1つ増えるんです。5個入りで1000Gですね。これがないと始まらないので、ちょっとお高いですが買いましょう」

「分かった」


 画面にある購入ボタンをタップすると、所持金が減り、目の前に箱が現れた。

 開けると、中には購入した【神様用の飴】が5つ入ったビンが入っていた。


「これを1つ食べて、『【理の改変】を取得する』って唱えてください。かみ砕いても大丈夫です」

「お、おう」


 オレは言われた通り実行する。


「ステータスを確認してみてください。スキルが増えているはずです」

「【ステータス】!」


 名前:カミノ ハルト

 職業:神様 Lv.1

 スキル:【神様】【理の改変】

 所有アイテム:【完全未開拓惑星】【何でもしてくれるモフモフ】【神様用の飴】

 所有ポイント:3500pt

 所持金:1000G


「おおお! なるほどな、こうやって自分自身もアップデートしていくってわけか」

「そういうことです」


 ハクはうんうんと頷き満足げな表情を浮かべる。


「では、【理の改変】の部分をタップして、そこにすべての木材は建築に適している、と打ち込んでください」

「こ、こうか?」


 スキルの【理の改変】をタップすると、文字を入れる画面と文字が現れた。

 そこに言われた通りの言葉を打ち込み、OKボタンをタップした。


「これで改変終了です。では、木を集めに行きましょうか」


 こんなんで本当に改変されたんだろうか?

 一抹の不安はあるが、まずは木を集めて家を建ててみないと何とも言えない。


 が、適当な木の前まで来て気づいた。


「これ、どうやって切るんだ?」

「そこはお任せください。……危ないので、少し下がって」

「うん?」


 オレが数メートル下がると、ハクは手を振り上げ、単調な、覇気の欠片もない声とともに手を斜めに振り下ろした。


「えーい!」


 すると、木の地面から20㎝程度のところにスパっと斜めの切り込みが入り、あっという間に切り倒された。


「え? は?」

「どうですか? なかなかの腕前では!?」


 ハクはうずうずそわそわした様子でオレの反応を窺っている。


「う、うん。すごいぞハク」

「えへへ、ありがとうございますっ」


 その後もハクは、そのやる気があるのかないのか分からないような動作と掛け声を繰り返し、次々と木材を切り倒していった。


 ――うん。これ、オレ必要ないな!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る