第6話 【神様】って万能だと思ってた

 オレは、美少女となったハクとともに神様活動を開始することとなった。


 昨日、ステーキを食べたいと願ったら、完璧なステーキが出現した。

 ということは、家もあんな感じでできたりするんだろうか?


「そういえば、ご主人様はステータスの見方はご存じですか?」

「す、ステータス?」


 そもそもステータスのことなんて聞いていない。


「手を前にかざして、【ステータス】と唱えてください」

「わ、分かった。【ステータス】!」


 ハクに言われた通り唱えると、そこに半透明の板のような画面が出現した。

 ゲームのステータス画面によくある、あんな感じだ。

 そこにはこんなことが書かれていた。


 名前:カミノ ハルト

 職業:神様 Lv.1

 スキル:【神様】

 所有アイテム:【完全未開拓惑星】【何でもしてくれるモフモフ】

 所有ポイント:3500pt

 所持金:2000G


「ゲームかよっ!!!」


 思わず全力で突っ込んでしまった。

 というかこの【完全未開拓惑星】もアイテムなのか。


「ご主人様はまだLv.1なので、材料は集めてくるしかありません」

「え? でも昨日、ちゃんとステーキが出てきたぞ?」

「それは多分、所有ポイントを消費したんですね」


 どうやらこの所有ポイントを使うことで、この世界に存在しないものを手に入れることができるらしい。


 ――なるほど。

 なら当分は、このポイントは食料に使った方がいいな。

 昨日のステーキ、あれは何ptだったんだろう?


「この所持金2000Gってのは何に使うんだ?」

「それは神様アイテムを購入する際に使います。ポイントや所持金は、神様らしいことをすると増えますよ」


 神様らしいこと。なるほど分からん。


「神様アイテムってなんだ?」

「神様をやっていくのに便利なアイテムです。ポイントで買えるのはご主人様が元いた世界にもあったアイテム、所持金で買えるのはそれより上位のアイテムです。買えるようになったら、この【SHOP】欄に出てきます。今はまだ買えないようですね」


 何があるのか、買えるようになるまで分からないのか。

 計画が立てづらいな……。


「神様ってもっと万能だと思ってたけど、やっぱりいろいろと縛りがあるんだな」

「スキル【神様】は、あくまでスキルなので。一応職業でもありますが、要はあれです、フランチャイズな神様なんです」

「あー、そういう」


 まあ、さすがにそんな都合のいい話はないか。

 でもそれでも、たとえフランチャイズな神様であっても、元の暮らしよりはだいぶマシだ。


「でも、僕がちゃんとサポートしますから、だからご主人様が不安に思う必要なんてないですよ」

「いや、大丈夫だよ。でもありがとな」

「! そ、そんなお礼なんてっ//// それが僕の役割ですから……」


 ハクは嬉しそうな恥ずかしそうな様子でもじもじし始めた。

 狼仕様の耳がピコピコと動いて可愛い。


「じゃ、建材用の木を集めるか!」

「はいっ」


 オレとハクは、頑丈そうな木を求めて森の中を探索することにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る