第4話 スキル【神様】がすごすぎるんだが

 女神フィーネと別れたあと、オレは食料を求めて森の中を歩き回った。

 しかしこれといった食料は見当たらず、結局体力温存のため歩き回るのをやめて先に寝床のことを考えることにした。


 明日になれば卵が孵って【何でもしてくれるモフモフ】とやらが生まれるらしいし、そうすれば何か分かるかもしれない。

 というか、分からなければ詰む。


 しばらくうろうろしていると、とても大きな木へとたどり着いた。

 某TVCMで「気になる木」と歌われているような立派な大木で、葉も茂っており多少の雨なら凌げそうだ。


 ――とりあえず明日まではここを拠点にするか。

 さっきの川からもそんなに離れてないし、水にも困らなくてちょうどいいな。


 オレは大木の根本に座って背中を預けて空を見上げた。

 こんなにゆったりとした時間を過ごすのは、10年以上ぶりかもしれない。


 程よく吹いている風が木々を揺らし、ゆるやかに雲が流れていく。

 こうしていると、ここが異世界であることを忘れてしまいそうだ。

 生き物がいないことや食べ物がないこと、文明が存在しないこと以外は地球とほとんど変わらない。


 神様――か。

 そういえば、スキル【神様】ってどんなことができるんだろ?


 いろんなことがありすぎて忘れていたが、そういえば女神がボーナススキルをくれたことを思い出した。

 でも使い方が分からないし、何ができるのかも不明だ。


「おいしいステーキ出てこい!――なんてな」


 オレはダメ元で地面に手をかざし、いつかTVで見た美味しそうなステーキを思い描いてつぶやいてみる。

 どうせ何も起こりやしな――


 い、と思ったが。

 なんとそこに熱々のステーキが現れた。

 もちろんちゃんと鉄板に乗せられていて、付け合わせまで乗っている。

 ナイフとフォークまでセットになっている、オレが思い描いた通りのステーキだ。


 え、まじか。

 でもこれ食えるのか?

 味は――


「――うまいっ!!」


 ミディアムレアに焼かれたジューシーな肉は質も申し分なく、噛めば嚙むほど肉のうまみが溢れてくる。

 オレは空腹だったこともあり、あっという間に完食してしまった。


 こんなふうにのんびりできて、おいしい飯が食えて、もしかしたらこの【完全未開拓惑星】とやらでの生活は、間違いどころかご褒美なんじゃないのか?


 オレはただのサラリーマン――だった。

 スキル【神様】は、そんなオレがもらうにはもったいない代物かもしれない。

 でもここでなら、前世で叶わなかった人間らしい生活ができるかもしれない。

 神様だけど。


 これからここで、どんな生活をしていこう?

 オレは期待とともに再び空を見上げ、この先のことを考えることにした。

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