第2話
―「友達じゃないの?」
成瀬さん友達って言った?聞き間違い‥
ということはない‥か。
しっかり聞こえたしな。
「ねぇ、姉ちゃん。
さっきの人ほんとーに彼氏じゃないの?」
「何度目だ。違うと言ってるだろ。」
「ふ〜ん。でもさ、姉ちゃん珍しく
笑ってたよね?俺見たんだから!」
「そ、そんなことはない。
見間違えたんじゃないの?」
「いいや、絶対笑ってたね!」
と、本屋を出てからずっとこの調子だ。
何度言ったらこの弟‥明は分かるのだ。
そうこうしていると、家に着いた。
その時、父も家に帰ってきた。
「あー!お父さん、おかえりなさーい!」
「父さん…。は、早かったね。」
「あぁ。仕事が早く終わってな。
明、先に家に入ってなさい。
千寿、話がある。」
「? はーい。ただいまー」
「゙話゙って何?」
「分かっているだろう。お前のことだ。
こんな時間まで何をしていた?」
「明と本屋に‥行っていました。」
「お前には期待しているんだ。
俺の期待を裏切ることはするなよ?」
「はい。父さん、すいません。」
「俺はお前の為を思っているんだからな。」
「‥はい。理解しています。」
僕は父が嫌いだ。
昔から、父は僕に厳しかった。理由は単純。
僕が女だからだ。父は病院を経営している。
いずれ、子供に継がせる気だ。しかし、
生まれた子供は女の子。母の前では嫌な
顔ひとつせず接しているが、2人になると
いつもこうだ。父はどこか男尊女卑な所が
ある。母には優しい。妻だからだろう。
弟にも優しい。男だからだろう。なら、
弟に病院を継がせればいいと思うだろう。
しかし、弟は見てのとおりである。そこで、
僕を゙息子゙として病院を継がせる気なのだ。
‥‥‥腸が煮えくり返るようだ。
夕食を済まし、風呂に入った。
部屋に戻り、勉強しようとしたが止めた。
ふと、成瀬さんに聞いたアニメでも見ようと
思った。名前は忘れたが、今、人気なので
調べれば分かるだろう。(憶測だが‥)
あった。見てみるとなかなか面白いな。
‥‥‥もう終わりか、短かっ‥た‥な‥‥
「‥ちゃん。‥ぇ‥ちゃん。姉ちゃん!」
「どうした?」
「朝だよ!起きて、朝ご飯できてるよ!」
「‥分かった。今行くよ。」
「もー。お母さんと待ってるよ!」
どうやら寝落ちしたようだ。スマホの充電
も切れている。連絡する用事もないし、
充電はあとにしよう。階段を下りると母が
「あらぁ、おはよ〜、千寿ちゃん。
遅かったわねぇ。みそ汁温める?」
「母さん、おはよう。お願い。
身支度してくるよ。」
顔を洗いつつ、今日の予定を考えた。
午前中は課題をして、午後は散歩でもするか
などと考えていると、母に買い物お願い♡と
言われたので午後は買い物に変更。
課題が早めに終わったので、昼食を食べ
買い物に向かった。
渡されたメモによると、
・卵1パック←1番安いの!10個入り!
・豚バラ肉 500gくらいのがいいな♪
・食べたいお菓子!チョコ希望
‥だそうだ。さっと済ませて帰ろう。
買い物カゴに頼まれたものを入れていく。
お菓子どれがいいかな?と悩んでいると
「おにーさん!だいじょうぶ?」
と保育園くらいの女の子に声をかけられた。
「うん。大丈夫だよ。ありがとうね。」
「どーいたしまして!
でも、ここでどうしたの?」
「どのお菓子がいいか迷ってるんだ。」
「そうなんだ!ゆーちゃんね‥
このチョコのおかしすきだよ!」
「じゃあ、それにしようかな。」
「はい!すっごいおいしいよ!」
「何回もありがとうね。」
用事も済んだので帰ろうとすると、
「ゆーちゃん!勝手にいなくならないの!」
「おにーちゃん!おかしこれがいい!」
「もー、今日は買わないんだよ?」
「えー‥わかったぁ」
「すいません、迷惑かけてって、あれ?
平野さんじゃん!奇遇だね」
「そうだね。成瀬さんは妹さんと
おつかいか?」
「そうだよ!今日カレーなんだ!」
「美味しそうだね。それじゃまた明日。」
「あっ、うん。また明日‥」
「おにーさん!またね!」
あの兄妹は元気だな‥。さて帰らないと。
それにしても成瀬さんの言い方気になるな‥
それから会計を済ませて家に帰ると、
母にこのお菓子食べてみたかったの!
と言われ買ってよかったと思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます