第14話 不死君宮町
「この頃やけに失踪者が多いよな」
「そうよねー怖いわー」
男女二人がそう話す横を僕は通り過ぎていった。ここは、不死君宮町。レプタリアンの総本山である。昔から不死とついている町名のため、怪談話やオカルトの聖地としても知られている。というのは只の先入観で、師匠いわく、この土地の波動が酷く歪んでいるため、昔から悪いものを引き寄せる性質があったのだという。2つほど信号を渡って、右に曲がると、師匠の姿が見えた。
「師匠お疲れ様です」
僕が言うと、ハタ師匠は神妙な面持ちで、
「おう、じゃあちょっくら行きますか」
と静かにも殺気のこもった声だった。不死君宮町第六ビル跡。不気味な雰囲気を醸し出す仰々しい空間。赤の三角コーナーと侵入禁止の看板はあるものの、誰しもが普通に入れる状態だったので僕は、呆れてしまった。これじゃあ奴らの根城になるのもおかしくない。
廃ビルの階段を粛々と登り、屋上へ出るとそこには人影があった。数人から見え始め、
次第に数が増えていった。
「お前、何匹に見える?」
ハタ師匠が聞いてきたので、
「数人から10人程度」
と答えると、
「お前、鼻はいいけど目は悪いな、答えは50匹前後だ」
と返され、僕は焦ってよく見直したがどう見ても10匹くらいにしか見えない。
「擬態だ、後ろの壁にわんさかいるぞ」
そう言われ壁を注視した。すると奴らの姿が見えてきた。結構大型のものもいる。間髪入れず最初に見えてきた、赤のパーカーを着た坊主頭が、
「よーう、おっさんと…息子さんかな?なんの用だ?」
と聞いてきた。コンマ一秒後坊主頭の首は切り落とされていた。それは悲鳴すら許さぬ神速の剣だった。
「けん、遅れをとるなよ」
「了解」
前の方にいた雑魚が騒ぎ出したので、後ろの見えなかった奴らも今ははっきり見える。仕込み杖を抜いて師匠に続いた。
「合旦斬!」
「双曲斬!」
習った技を片っ端から使っていく。
「月天流波動陣!」
所謂、範囲攻撃である。数が多いとまとめて倒せて時短になる。雑魚はあらかた片付けた、すでにハタ師匠はボスらしきレプタリアンに挑んでいた。どうやら外皮が固く装甲のようになっているらしい。キンキンと金属音がする。
「俺様の装甲は硬いぜ、貴様に斬れるかな?」
「愚問だな」
そう言うとハタ師匠はふぅっと息を呑み刀を鞘に収め静止した。その後ろ姿から、刮目の二文字が浮かぶほどの迫力。ハタ師の十八番、抜刀術である。
(出る…)
その刹那、圧倒的な神速の剣が奴を粉微塵にした。まさにミンチだ。
「月天流五臓六腑、研ぎ澄ましたチャクラを神速の剣で体内に送り込み内側から破壊する、月天流の奥義だ、けん!ちゃんと見てたか?」
「はい、師匠!」
「ふんっ」
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