第11話 チャクラ
さて放課後、修行の時間である。僕はちょっとだけ修行が楽しくなってきていた。丸別町の廃工場に向かう、相変わらずプンと鼻をつくあの匂いがする。端の小さいドアから中に入ると、ハタ師は
「今日はちょっと遅かったな」
と少し怪訝そうだった。
「師匠に2つ報告があります」
「ほう、なんだ言ってみろ」
「まず1つ、昨日レプタリアンに襲われ撃退しました。それともう1つ、今日、学校にレプタリアンにされた女性の外国人教師が赴任してきて僕に言ったのです、人間に戻りたいと」
「まず1つ目、よくやった、2つ目は地球同盟の連中に聞いてみねえとわからん」
「じゃあもしかしたらその方法があるかもしれないんですね?」
「ああ、地球同盟の科学力はたいしたものだからな、あるかもしれん」
そう言われ、少しホッとした僕は、はぁと息を吐いた。
「では今日の修行を申し渡す」
と言って、ハタ師は何を取り出すわけでもなくこう言った。
「瞑想によるチャクラ開発だ」
「瞑想?」
僕はすぐに僧侶などが行うアレを想像した。
「目を瞑って精神集中しながらチャクラを開いていく」
「どうやって?」
「チャクラは体内に大きくわけて7つ備わっている、第一から七まですべてを開いて月天流の技に活かす」
ハタ師は説明を続けた。
「体の各部位にあるチャクラを意識しつつそれを刺激し回転させるようなイメージで開発を行っていく」
「と言われても、よくわかりません」
と僕がいうとハタ師は、
「やれば分かる」
と瞑想をするよう促した。僕は瞑想を開始した。ふうっと息を吐き出し精神を集中させる。
これを30分ほどやっているとハタ師が、こう言った。
「足元にあるチャクラを意識しそれを刺激しろ」
と。何も言わず僕はそれに従い、足元にあるチャクラを刺激した。これでいいのかどうかよく分からなかったが足元がポカポカしてきた。するとハタ師は、
「よし、第一チャクラは開けたな」
と言って、次の段階へ移ると言った。
「次は第二チャクラだ、生殖機あたりにある」
僕は、陰茎部の下辺りに意識を向けると、何か異物感を感じた。少しぼっ起した。するとどうやって気づいたのか、ハタ師は、
「第二チャクラも開けたな、順調順調」
と嬉しそうに言った。そうやって、第一から七までのチャクラを開いて、その日は修行終了となった。
「明日から本格的に技を教えていく覚悟しろ」
少し仰々しい感じで、ハタ師は言った。僕はお辞儀をし家路についた。家につくといつもどおり母さんに只今と言い、おかえりと返ってきて、僕は部屋へ直行しベッドにバタンと倒れた。今日のチャクラの修行は、見た目以上に精神的にしんどかった。明日からは技の修行だ。ちゃんとやれるか少し不安になった。そのまま目を瞑ると自然と眠りについてしまった。朝起きて、汗でベトベトのTシャツを見て、風呂に入ろうと思い風呂場へ向かった。
脱衣場の脇においてある体重計に乗る。2キロ程痩せていた。シャワーを浴び、タオルで体を拭いて、着替えると、母さんの声がした。
「けんちゃん、最近遅いみたいだけどどうかしたの?」
「ちょっとバンド活動が熱を帯びてきてさ、中々帰してくれないんだよみんな」
人のせいにしている自分が情けなくすら感じる。
「そう」
と言い、足音は台所へ向かった。僕もすぐに朝飯を食べに台所へ向かった。無言のまま出された朝飯を食らう。食べ終わったら食器を母さんに渡して、
「じゃあ、行ってきます」
と言い、部屋に戻って鞄をとってきてから、家を出た。暫くしてあずさが声をかけてきた。
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