第6話 龍刈り
〈ほう、それは恐らく古来より龍と戦ってきた龍刈りの一族だろうな〉
そんな話をしていると、部屋のドアがノックされ、母が
「お客さんよ」
と言って誰かを手招きしている。もしかしてあずさ?といった淡い期待は即座に否定された。そこに立っていたのは、和服姿で無精髭の龍刈りだった。
「邪魔するよ」
そう言うと龍刈りは、僕の部屋に2つある座布団の1つに座って。
「まあ、用件はわかるよな?」
と不躾に聞いてきた。なんのことだかわからず
「いえ分かりません」
と答えると、龍刈りは、ギロッとこっちを睨んで、
「お前じゃねえ、トカゲの方だ」
といきり立った。ヤモリさんはやれやれといった感じで、
「必要なんだよ彼が」
と普通に喋った。
「ヤモリさん普通に喋れるんだ」
僕がそう言うと、龍刈りは、ははっと苦笑を浮かべ、
「何も知らんようだから言っておくが、こいつはヤモリだぞ」
そう言われ、僕は、
「そんなこと言われなくてもわかってます」
と答えた。すると龍刈りは、頭を掻きながら、
「ヤモリは爬虫類の長老的存在なんだよってことを言いたいわけだおじさんは」
と言った。
「もっとい言うとレプタリアンより位は高い、ドラコニアン君主の次に位置する」 「ドラコニアン君主ってなんですか?」
「はぁあー」
龍刈りはこれだからトーシローはと言わんばかりに、ノートとペンを要求すると、そこに大まかな宇宙人類の種類と位をいくつか書いて、ほれと僕に見せた。レプタリアンはドラコニアン君主に使えるドラコの奴隸であり、位はだいぶ低かった。
「そのレプタリアンの親玉がそのヤモリって連中だわかるだろ?」
続けざまに龍刈りは、
「最近このあたりを拠点に、レプタリアンの一味が身をひそめていてな、最近の失踪者が後を絶たない現状も、無論奴らが食ったかまたは。」
「または?」
「遺伝子操作して同族の一味に加わらすかしている、さっきの薬、あれは遺伝子操作薬だ」
と現実を突きつけた。ヤモリさんはじっと黙っていたがふとこう言った。
「私達高位の龍族はそれは間違いじゃと思っとるし、不始末だと結論付けておる、奴隸の始末を同じ奴隸にさせて何が悪い」
「ほうら、本性出して来やがった、これだから龍族はタチが悪い」
龍刈りはそう言うと、腰に刺した脇差に手をやった。
「一旦退避じゃ、けん、窓を開けろ」
そう言われた僕は、奴隸呼ばわりされたことが頭によぎって、素直にヤモリさんのことを助けたいとは思えなくなっていた。僕は黙ってうつむいていた。その間に龍刈りはヤモリさんを仕留めた。今回のことで深く思った。利用されるか利用するかのどちらかなんだと。龍刈りは仕留めたヤモリを瓶につめ持ち帰っていった。僕はこの世界でちゃんと生きていますか?誰かにそう聞きたい程であった。
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