歯車

 僕たちは、歯車のようなものだ。


 それぞれ形が違っていて、大きさや硬さも違っている。


 回転する速さも含めて、まったく同じ歯車は存在していない。


 そんな歯車同士が、家族や社会を構成したらどうなるのか。


 頑丈な歯車以外は削られて、元の姿を失うしかない。


 それが嫌なら、無理やりにでも自分の姿を変えるしかない。


 どちらにしろ待っているのは、本来の自分ではない姿だ。


 もちろん、運がよければ削られることなく回転していける。


 回転する速さの違いだって、うまいこと互いに調整しあえばいい。


 でも、世の中うまくいくことばかりじゃない。


 削られて、削って、自らの姿を失っていく。


 気がついたときには、誰にも必要とされない役立たずの歯車がひとつ。


 ひとりぼっちで、回転が止まるのを待っている。

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