喜怒哀楽-1

 喜怒哀楽のうち、一番いらないのはどれだろう。


 つらくて苦しくて、押しつぶされそうになる哀しみだろうか。


 哀しみを感じることがなければ、人生は少しだけ軽くなるかもしれない。


 大切な誰かを失っても、何も感じることなく生きていける。


 でも、それは他の人から見たら哀しいことかもしれない。


 誰かを失っても哀しくないのなら、それは心を失っているのも同じだ。


 哀しみのあまり、心を失ってしまうことがあるように。


 では、喜びや楽しみはどうだろうか。


 そのふたつがなかったら、人生は暗闇に包まれてしまうだろう。


 喜びや楽しみを感じにくい僕でも、


 そのふたつがあるから光を感じられる。


 だから、少なくとも僕にとっては怒りが一番いらないものだ。


 捨てられるものなら、捨てたいとさえ思っている。


 怒りなんかなくたって、きっと生きていける。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る