宵の口

マスカットの構図


グリンを優美にゆがませる赤ワイン


木彫の卓上に並べられた肴たちは


橙の散る空間で器状に光る


美学という言葉の


この場では通じることがない


必然を持つ理と


偶然を含む断りを


私は待っていないから


寒さに黙る静寂と


暑さにどもる沈黙を


君は望んでいないから


灯りを消して微睡んで


懐寂しく夢中に落ちる

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