木尾原康弘の苦悩と叫び~怒りと呪い~
「うわああ! ヨムカクで直に執筆中だった原稿がサーバーエラーの所為で死んでもうたやないかい! どうしてくれるんだ!?」
ダンッ!
PCを置いたデスクに両の
彼の精神は綱渡り状態。か細い小枝の如く折れやすい。
彼は今回の出来事を自分で考えたタグをつけツ○ートした。
ら、一人のアマチュアWeb作家が反応した。
「このタグ小説のタイトルになりそうですね」
木尾原はその反応に返信した。
「使っていいですよ」
するとそのアマチュアWeb作家は木尾原の嘆きと無念を短編小説にして投稿すると言った。
「ヨムカクコンテストはWeb作家のお祭りです。こちらでも『誹謗中傷の意図はない』と近況ノート出しますから」
木尾原はそう約束した。
そうして彼の物語は書かれることとなったのだ。
しかし、その物語が書かれると木尾原が不利になるのではないか?
と、そのアマチュアWeb作家は心配したのだが。それでも木尾原はGoサインを出した。
ならばと、
その小説を書くアマチュアWeb作家はヨムカクに対して大きな反感は持っていない。
他のアマチュアWeb作家達がヨムカクに対して多少は思っている疑問は持っているが。
……つまりそれらがヨムカク編集部のPC画面に写し出された言葉である。
あの疑問はヨムカクに在籍する多くのアマチュアWeb作家が思っていることでもあるのだった。
しかし、それはそれとしてSFを専門に書いている者は短編に、流行りに乗る作品を書けないと思った者はヨムカクコンを見送ったり、それでも参加したり、それぞれの姿勢でヨムカクコンに挑んでいる。
木尾原はライトノベルではなく一般書向きの実力の持ち主であるにも関わらず。ライトノベルに固執している部分があった。
ヨムカクで求められている現在のライトノベルは、木尾原の思うライトノベルではなく。もっともっと軽いライトライトノベルな
それは時代の流れだった。木尾原の知っているライトノベルは今や一般書。もしくはキャラ文芸と呼ばれる物に変化しつつある。
キャラ文芸とライトノベルは広義では同じではあるが。木尾原はヨムカクコンキャラ文芸部門に参加しなかった。
それは兎も角、執筆を続けていた木尾原は、いそいそと呪いの道具一式を押入れから出した。
実は木尾原の背後(守護)には前世で縁のあった呪術師が護りについている。
その所為か、木尾原は自身が知らぬ
それが編集部を襲った釘バット男の正体でもあった。しかもそのあとヨムカク編集部の電源を落とし、あの疑問符だらけの文字をPCに写し出したのだから、木尾原の
それ故木尾原が本気で呪いを行えば更に恐ろしいことが起こる。
自身が考えている以上の成果が現れてしまうことを木尾原は知らずにいる。
「まず、媒体となるものは……と」
木尾原は暫し考えて……。
「おおっ! ヨムカクに直書きした俺様の作品があるじゃないか!」
ヨムカク編集部のサーバーに直書きした木尾原の作品が幾つもあるのだ。
一番効果がありそうなのは、現在必死で投稿中の異世界ファンタジーで魔法少女×ゴリラが出て来るぶっ飛んだ内容の作品だ。
「ふふふふ……」
木尾原は不気味な笑みを浮かべながらスマホからヨムカクにログインし、本に書かれてあった呪文を唱えながら呪いの踊りを始めた。
それはヨムカク編集部に向けての呪詛であった。
そうして木尾原の呪いはヨムカク編集部に再び恐怖をもたらすことになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。