第一幕 千鶴との出会い
詠弦と麗泉が去ってから数時間後-----------------
「んぅ、かーさま?どこ?」
眠りから覚めた蒼弦がキョロキョロと麗泉を探す。
「おお、起きたか蒼弦。」
キョロキョロしている蒼弦に村長の
「あれ?てつじぃ?なんでいるの?」
なぜ鉄斎がいるのかわからず蒼弦が問う。
そんな問いに、
「なぜかって?お前の両親の頼みでしばらくの間、お前を儂が預かることになったからじゃよ」
と鉄斎が答えた。
「じゃあ、これからてつじぃと一緒に過ごすの?」
「ひとまず、1人でも生きてゆけるだけの力をお前が身につけるまではそうじゃな。」
「そっか……ねぇ、てつじぃ。1人でも生きていけるくらい強くなったらとーさまとかーさまを探しに行ってもいい?」
「むぅ、できることならお前には安全のためにもここにいて欲しいんじゃがなぁ……まぁ、儂に一撃入れられるくらい強くなれたらいいじゃろう。」
「わかった。なら、明日から僕のことを鍛えてくれる?」
「明日からか?うむぅ、さすがにまだ本格的に鍛え始めるには早いからしばらくは体力づくりになるがそれでも良いか?」
「わかったよ。」
「よし、そんなら今日のところは飯食って寝るとしよう。」
と、そんなこんなで翌日からどうするかが決まり2人は夕食をとった後、眠りにつくのであった。
1週間後---------------------------------------------------
あの日から一週間、蒼弦は今日も今日とて体力づくりに励んでいた。
「えーっと、腕立て伏せ500回と腹筋500回は終わったから…うん、後は4里走ったら終わりだね。よーし、さっさと終わらせよう。」
※1里は3.927キロメートル
とまぁ、こんな感じでとてもじゃないが、3歳児がやることとは思えないことをしていた蒼弦であった……
同日、夕方------------------------------------------------
4里を走り終えた蒼弦が家に戻り縁側で休息をとっていると、
「おーい、蒼弦。ちょっとこっち来なさい。」
居間から蒼弦を呼ぶ鉄斎の声が聞こえた。
「なんの用?」
と、居間に来た蒼弦が鉄斎に聞くと、
「いやなに、ちと頼みがあってな。」
そう鉄斎は答えた。
「頼み?」
「ああ、実はお前のことは隣の村に住んでおる儂の娘にも言っておったんじゃが……その娘がお前に会いたいと言っておってな。近いうちに一度、娘の住んでおる隣村に行かんか?」
「なんだ、そんなことか。うん、いいよ。」
「よし、ならば5日後に会いにゆくとしよう。」
そして、こんな感じでトントン拍子に隣村行きが決まった。
5日後、昼-------------------------------------------------
「おっ、見えてきたな。あと少しで村に着くぞ」
と、鉄斎が言った。
5分後-------------------------------------------------------
「着いたな。それじゃさっさと娘のとこまで行くぞ」
「うん」
同日、昼/鉄斎の娘の家にて-------------------
「おーい、
と鉄斎は言いながら家の扉をドンドンと叩いた。
すると、家の中から
「今ちょっと手が離せないから、中に入ってちょっと待ってて」
という声がした。
その声を聞いた鉄斎が扉を開けて中へ入って行くのにつづいて蒼弦も家の中へと入って行った。
15分後/居間にて----------------------------------------
「お父さん、その子が蒼弦?」
と、千鶴が問うのにどう反応して良いのか分からず蒼弦が座ったままじっとしていると鉄斎が
「ああ、そうじゃ。おまえの初恋の相手である詠弦とお前の親友である麗泉の間に生まれた子じゃ。」
と答えた。
すると、千鶴は
「あー!父さん!初恋云々は言わなくていいのよ!」
と慌てたように言いながら立ち上がり、鉄斎の口を手で塞ごうとしたが、鉄斎は
「別にいいじゃろ」
と言いながらヒョイッと避けた。
その後、数分間千鶴と鉄斎による攻防が続いたがそんな様子を見て蒼弦は思わず、
「ぷっ、あははは。2人とも何してるのさー」
と笑いながら言った。
それを聞いた千鶴は顔を真っ赤にして
「な、なんでもないわよー。あ、私の分のお茶を持ってくるのを忘れてたわ。ちょっと取りに行ってくるから待っててね」
と言いながら逃げるように台所に走って行った。
そんな千鶴を見て蒼弦はポカーンとしていたが、鉄斎は
「カッカッカッ、まだまだじゃのう」
と言いながら笑っていた。
5分後-------------------------------------------------------
台所から戻ってきた千鶴は蒼弦に
「
と言った。それに対し蒼弦は
「わかったよ。」
と言って2階へと歩いていった。
---------------------------------------------------------------
第一幕はここまで、
第二幕 血脈の力と秘密
をお楽しみに。
回顧剣録 紋架 綴 @kaguneno184
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。回顧剣録の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます