出会いと別れ

序幕 剣鬼生誕

これは神代の時代の物語


遥か昔を生きた鬼の一生を綴った物語


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彼は此の世に生まれ落ちた。

強くなるべきと定められ生まれた。

強くならねば何も守れぬ世であるが故に......


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「おーい麗泉れいせん、帰ったぞー」


「おかえりなさい、詠弦えいげんさん」


「お腹の子の調子はどうだ?」


「元気よ」


「そうか、なら良かった」


「私とあなたの子なのだから心配しなくても元気に産まれてくれるわ」

麗泉が優しい笑みを浮かべ大きくなったお腹を撫でながら言う。


そう言う麗泉に笑い返しながら詠弦は言う。

「ああ、そうだな俺たちの子だから大丈夫だよな」


「ねぇ、詠弦さん。この子の名前何がいいかしら?」


「そうだなぁ......」


数日後------------------------------------------------------


ガラッ!勢い良く扉を開け放って詠弦が部屋に飛び込んでくる。


「おい!産まれたってホントか!?」


「ええ、元気な男の子よ」

麗泉が生まれたばかりの我が子を優しく撫でながら詠弦の問いに答えた。


「無事に産まれてくれてよかった......お前の名前は蒼弦そうげんだ。強く優しい子になってくれ。」

詠弦が優しい声でそう言いながら、産まれたばかりの我が子の頭を撫でる。


3年後------------------------------------------------------


「なぁ、麗泉。ここらが潮時じゃないか?」

そう詠弦が麗泉に問うと、

「ええ、潮時かもしれないわね」

と麗泉は答えた。そして、

「欲を言えばもう少しこの子と一緒に居たかったのだけれど......そうもいかないものね」

と言いながら、寝ている我が子の頭を撫でた。

「この子を俺たちの事情に巻き込む訳にはいかないからしょうがない」

と詠弦が言うと

「そうね、この子には平和に過ごして欲しいもの。3日後に村長にこの子を預けて出立しましょう」

麗泉はそう言った。


3日後------------------------------------------------------


「「村長、蒼弦のことを頼みます」」

詠弦と麗泉はそう言い村長に眠っている蒼弦を預けた。


「ああ、任せておけ。今でこそ老いたが、かつては神とも渡り合った儂の全力を持って守り、育て上げると誓おう」

と、村長は2人に言った。


「それでは、またいつかお会いしましょう」

と詠弦が言い、2人は村を去っていった......






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