第2話 都会の雫?
パァン!朝の通勤ラッシュ、歩道を歩く私のパーソナルスペース内で響く。
なにかが私にあたった気がした。いや、か、確実あたった。歩きながら、自分の身体で、視界に入る部分は全て確認したが何もない。
嫌な予感は止まらない。わかっていても、認めたくない現実ってあるのだ。
足早に歩きながら自分の肩などを触り確かめる。手にうっすらと茶色ものがついている。
「・・・フン?」
...フンて落ちるとき、パァン!て音するんだぁ( ´ ▽ ` )ピストルみたい。
大都会の真ん中で悲鳴をあげたいのと、その現実から逃避したい想いがあった。焦った。
やばい、汚い!と思いながら、私は職場のトイレに向かって走り出す。走ると少し風は冷たい。天気は曇っている。
トイレに駆け込み鏡をみる。ダウンコート、左肩に湿っぽい土のようなものがついていた。白くないフンのパターン。
手洗い用の洗剤で必死に洗った。怪しそうにトイレ一緒になった人はみている。見るなよ。泣きたくなる。
髪の毛にもついていないだろうか確認する。その場では気づかなかったが、のち前髪一部が固まっていることに気づく。
私は鳥が苦手だ。というより嫌いだと思う。特に街中の鳩やカラス。なんのウイルスやアレルゲンを持っているかわかったものじゃない。
何より私はフンを落とされるのは人生で2回目なのだ。なぜこんな目に。私は鳥のトイレなのかと、怒りがおさまらなかった。
仕事中もずっといらいらしていた。人にこそ当たりはしないが、同僚に話すと「あー」と他人事なのか、汚いと思っているのかわからない返事が返ってくる。まあ、わかってはくれない。
翌日になり、洗濯物を干そうとベランダに出ると電線に鳥が止まっている。こっち見ている。
昨日のことがフラッシュバック。忌々しいな。洗濯物をバタバタとふり、ぶつけようのない怒りに加えて、奴らを威嚇する。わかっていたけど彼らはビビりもしません。そんなところも、腹ただしい。
私はこのとき心に決めた。これはもう昼ごはんに奴らを、チキンを食らうしかないと。
人間とは残酷なものです。鬼のように鶏肉に食らい付くことができます。
あまりジャンクフード食べないようにしているが、今回に関しては食べずにはいられなかった。この日は某店のナゲットとチキンのバーガーを頂く。
食べながら思っていた。なぜ鳥のフンはこんなにも嫌悪感が後を引くのか。フンという響きがよくないのではない気がする。
もっと綺麗な響きなら、多少なりとも気持ちを和らげることができるのではなかろうか。
鳥たちの生命と自然の豊かさに敬意払い、
今後は、"都会の雫"と呼ぶ。
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