第4話 猫の噂は千里を駆ける Rumors of cats run through thousand miles
そう結論付けてから、注文を取ろうと歩み寄よれば、何故か
一瞬だけ、細められていた琥珀色の瞳が隠せない驚きを
「ね、言った通りでしょう。綺麗な真偽眼、しかも
「確かに、な… よく見つけたな」
「ふふっ、猫の噂は一日で千里を駆けるのさ、にゃあ」
「あ、あの… 何か、え゛!?」
ちろりと舌を出して微笑んだ娘の黒髪から、ぴょこりとケモ耳が生えて怪異の
深く関わりたくないので平静を保つように努めていたら、もう一人の彼が連れ合いを
「都市部は “常識の迷彩効果” が強固とは言え、軽率だぞ」
「ここ場末の酒場だよ、知覚できる奴とかいないって」
“都市の原型ができた半世紀前なら別だけどね” と、聞きたくもない会話は受け流し、風変わりな客達に事務的な態度で接する。
「ご注文を頂いても?」
「あぁ、珈琲とフィッシュ&チップスを頼む」
「あたしもそれでお願い、
これ見よがしに変化させた肉球付きの掌を向け、にんまりと笑いながら手を掲げてきた黒猫を無視して、何事もなかったように厨房へ引き返す。
以後、特筆すべき接点もなく… 怪しげな二人組は軽食と16ポンドの支払いを済ませて大衆酒場から立ち去った。
(何だったんだろう…っ、ダメ、
日々の労働だけで大変なのに怪異
ただ、また
目覚まし時計に急かされて、寝床から出た私は人差し指で瞼を擦り、沈んだ気持ちのまま新たな朝を迎える。
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