第8話 優哉の優しさ

ある日の事、事件は起きた。




「…ごめん…俺…前から好きな子がいて…」





ショックだった……


好きな子いながら私に告白?


そして私と付き合っていたって事?


好きな子の気を惹く為?


私は利用されていたって事?





「痲由、可愛かったし好きだった事に嘘はない」



「………………」



「でも…辰弥(たつや)の中には、別に好きな子いたって事だよね…。何もしてこなかった理由も好きな子いたからって事だよね!……本気だったのに……!」


「本当…ごめん…」





次の瞬間―――――




バキッと鈍い音が聞こえると同時にドサッと地面に倒れ込む人影。




ビクッ


驚く視線の先には、辰弥が倒れ込んでいる。





そして――――



「…優…哉…?」


「大した野郎だな?好きな女いながら別の女に告白するなんて、どういうつもりなんだよっ!ぶざけんなっ!2度と痲由佳に近付くんじゃねぇっ!痲由佳、行くぞ!」





グイッと私の手を掴み、その場から連れ去るように歩き出す。




「……………」



「…恥ずかしい所…見られ…」




グイッと優哉は抱きしめた。




「…優…哉…?」


「何も言わなくて良いから…泣きたいなら泣けば良い…」



「…………………」







その日の夜。





「…優哉…ありがとう…」


「別に。余りムカついたから、つい殴ったけど…つーか、同じ男として許せなかった。好きな奴いながら普通告るか?ありえねーだろ!?ヤベ…また腹立ってきた」




スッと私は優哉の両頬を優しく包み込むように両手で触れる。



「…痲由…佳…?」




スッと離れる。



「今度は良い奴、見付けな!」


「…そうだね…出来たらね!」



私は、笑顔を見せ自分の部屋に行った。




「………………」





本当は辛い


泣きたいけど


涙は流れない




私はベッドに横になりボンヤリとする。


夜も更けた頃、私はリビングに行く。


それに気付いたのか、優哉もリビングに来た。





「痲由佳、眠れないのか?」


「優哉…」


「一緒に寝る?」




ドキッ

意外な言葉に胸が大きく跳ねる。




「えっ?…いや…逆に眠れない気がする」





クスクス笑う優哉。



「来な」






いつになく優しい優哉


私は優哉に甘え


優哉の部屋に行く






同級生なのに


しっかりしてて


落ち着いてる優哉


憎まれ役叩いて


ムカつく奴だけど


でも時折


優しかったりして……





ねえ……


優哉……


同居人だけの今の関係


変わったりするのかな?



お互い何かの理由で


いつの間にか惹かれてて


お互いが


必要とする時あるのかな?
































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