第7話 男 運
そして、ゆっくりと付き合って数か月、彼と正式に付き合おうかと思った矢先、再び告白された。
私達は正式に付き合う事になったものの、一ヶ月過ぎても、キスさえも求めない彼に疑問を抱いていた。
「ただいま……」
「おかえり。デートを楽しめたか?デートの時間限られているから大変だよなー」
「…そうだね…」
「…痲由佳?」
私は自分の部屋に行き、ベッドに腰をおろす。
後を追うように優哉が訪れる。
「何かあったのか?」
「………………」
「人間だもん…悩む事だってあるよ…」
優哉が、私の隣にベッドに腰をおろす。
「で?どうしたんだ?」
「………………」
「…好き合ってるのに…どうして何も求めてこないのかな?私の事…好きじゃないのかな?って…ちょっと思って……」
「………………」
「ごめん…気にしないで……」
グイッと肩を抱き寄せたかと思うと、頭を凭れかけさせる。
ドキン…
胸の奥が小さくノックした。
「大事にしている相手なら手は出せないものなんだって」
「えっ!?そういうもの?キスくらいは出来るんじゃないの?」
「…まあ…人それぞれだろうけど…」
「優哉は…どうなの?」
「俺?俺は…普通に出来るかな?まあ…結構タイミングっつーのもあるけど…」
「タイミング…?」
「告白するのと一緒かな?」
「告白…?」
「タイミング逃すと良いも悪いも決まるんじゃないかな?って俺は思うけど?」
「………………」
「まあ、深く考えなくても良いんじゃないか?」
優哉は立ち上がり頭をポンポンとした。
「この際、お前からしたら?」
「無、無理だよ!」
「…まあ…お前には…難しいかな?」
「………………」
「まあ、元気出せ!」
優哉は私の部屋を後に出て行った。
ある日の事。
「あの、すみません!」
バイト終了後の事だった。
私を呼び止める男の子。
「はい」
「あの…俺と…付き合って下さい!」
ドキッ
突然の告白に胸が大きく跳ねた。
「えっ!?…あっ…えっと…すみません…私…彼氏がいて…」
「…そうですか…」
「本当…ごめんなさい…」
「いいえ。失礼します」
男の子は去って行った。
―――― 夜 ――――
「へえー、良かったな。そいつと付き合えば良かったんじゃねーの?」
「えっ?」
「今の彼氏とは、どういう状況か知らねーけど」
「別に普通だし」
「あれからキスは出来たのか?」
「えっ!?そ、そんな事、言えるわけないでしょ!?」
「ふ〜ん」
優哉との関係も
こんな感じで
毎日過ごしていた
でもそれが居心地良くて
毎日楽しんでいる
特別な感情なくても
友達として
こういう関係も
悪くない
そう幸せだったはずなんだけど……
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