第5話 新学期
「ねえ、優哉、本当に何もいらない?」
「いらない!俺は、そんなつもりで渡したんじゃねーから」
「…でも…」
「気にすんなって!」
「……分かった」
それから数か月が過ぎ、高2の春。
「今年も優哉と同じクラス?」
「好きで同じクラスになったんじゃねーし。お前、何か仕掛けたんだろう?」
「誰がするかっつーの!そう言う自分じゃないの?」
「してねーしっ!」
私達は言い合う。
「そういや優哉、果菜ちゃんから聞いたんだけど、告白されてたんだって?」
「えっ?」
「申し分ない容姿だけらモテモテなんだろうね!性格は悪いけど!」
「テメーこそ、一人か二人、告白されてみろよ!そこそこイケてんのに誰も寄って来ないのは性格悪いの目に見えてんのな?」
「うわー…感じ悪っ!あんたに告白する相手の考えに気が知れない!」
「うるせーっ!バーカ」
私達は騒いでいた。
ある日の事。
「ねえ、痲由ちゃん。来月、修学旅行だね」
と、果菜ちゃんが言った。
「そうだね」
「カップル増えそう」
「増えそうだよね?私達、中学の時に一気に増えた感じがする」
「確かに。でも、修学旅行に限らず、学校の大きい行事って増えた感じしない?」
「あー、分かる。そうそう!」
私達は身近な恋ばなに話が弾んでいた。
――― その日の夕方 ―――
「ただいま」
「おかえり。最近、帰り早いな」
「今、暇な時期だから」
「そうなんだ。店潰れたりしてな」
「冗談でも辞めて!」
クスクス笑いながら
「確かに、お前にしてみれば大問題だよな?」
「そうだよ!あっ!そうそう。今日、果菜ちゃんと来月の修学旅行の話し繋がりで、恋ばなで盛り上がっていたんだけど、優哉の中学の時、修学旅行含め、学校のイベント事でカップル増えなかった?」
「カップル?あー、増えたかも?体育祭とか…あれって、どのタイミングで告白しあってんのか分かんねーけど、何処かで見られてるな〜って恐怖感ある」
「えっ?でも、好きな人なら見たりするから」
「だとしても、どんな所を見られてるのか逆に怖くね?」
「えっ?優哉の、その考えが分かんないけど」
「いや、同級生とかなら分かるけど、先輩、後輩なんて部活以外の繋がりって、そうないわけじゃん?」
「まあ、確かに分からなくないけど、私は嬉しいけどな〜」
「告白された事ねーからじゃね?どうせ、お前の事だし、告白された事も、した事もねーんだろう?」
「うん、毎日忙しいから」
「そうだよな?一生無理だろうな〜」
「えっ?」
「まあ、キャリアウーマンになるって宣言していたから関係ねーか?」
「いや、まあ、それはそれで良いけど、人生一度きりだし彼氏くらいは欲しいよ」
「へえー、そうなんだ」
「だって!結婚はしたいじゃん!」
「女子力あげなきゃ無理だろう?」
「うるさいなっ!悪かったなっ!」
私達は騒いでいた。
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