第4話 プレゼント

それから数か月が過ぎ。



「あっ!この洋服可愛い〜♪」



私は、とある店のショーウィンドウの前に足を止めた。




「良いなぁ〜…欲しいなぁ〜…でも、買う余裕なんてないし。彼氏がいれば、おねだりしちゃうんだけど…だけど…買ってなんて言えないかなぁ〜…自分のご褒美に自分で買っちゃうかも!?」



そんな私の姿を見掛ける優哉の姿があった。


私が、そこから去った後の事、優哉は足を運ぶ。


私は、そんな事など知るよしもなく。



「…アイツ…」



ある日の事。



「ねえ、ねえ、痲由ちゃん、今年の冬休みもバイト尽くし?」


と、果菜ちゃんが尋ねた。




「うん。バイトだよ」

「そうか…」


「クリスマスだの何だの言ってる余裕ないから」


「そうなんだね。ところで痲由ちゃん、彼にはクリスマスプレゼントとかあげたりしないの?」


「彼?誰の事?」


「優哉君」


「えっ!?渡す理由が分からないんだけど!?」


「友達とプレゼント交換とかどう?高いのじゃなくても気持ちの問題だから」


「いやいや、考えた事ないから!」


「そう?」


「そうです!」





ある日の事。



「…あれ…?優哉…君?…優哉君!」

「うわっ!びっくりした!果菜ちゃん!?」

「それ、何?クリスマスプレゼント?」

「あー、これ?」

「えっ!?もしかして!優哉君、彼女いるの!?」

「えっ?いや…彼女はいないけど…」


「じゃあ、まさか自分にプレゼント?」

「いや、流石にクリスマスプレゼントは自分にしないな〜」

「じゃあ、誰?やっぱり彼女?」

「いや、マジ違う。これ、アイツ(痲由佳)の」


「アイツ?もしかして…痲由ちゃん?」

「そう。アイツが、ショーウィンドウの前で見てるの見かけたから」

「そうなんだね」

「ああ。この事は内緒な!アイツの事だから気にして気使うの目に見えてるから」

「分かった!」



別れる二人。




次の日。



「プレゼントかぁ〜。良いなぁ〜」



果菜ちゃんが突然言ってきた。



「何?いきなりどうしたの?」

「中学の友達が誕生日でも何でもないのに男の子からプレゼント貰って告白されたんだって」


「へえー」


「その人は超カッコ良くて申し分ない人だったんだって」


「そういう事あるんだね」


「私も欲しい!で?痲由ちゃんはプレゼントあげないの?」


「えっ?」


「優哉君」


「やらないよ。果菜ちゃん、クドいから!」


「ごめん、ごめん」




私達は話題を変え色々話をしていた。





街中はクリスマスイルミネーション


カップルが沢山いる中、私はバイト先に向かう。


その日のバイトは、いつも以上に疲れた状態で帰宅し、部屋に行くと、そのままダイブして眠っていた。




次の日――――



「ん…」



目を覚ます。



「あっ!そうか…昨日…あれ…?何だろう?」




私は枕元に置いてある包装紙に包まれた品物に目がつく。




「………………」



包装された物を手に取ると同時に私の部屋のドアが開いた。



私は一旦物をおく。




「おいっ!寝坊助、痲由佳っ!朝ごはんだっ!さっさと起きろっ!」


「起きてます!第一、私は昨日、バイトでクタクタだったんです!」


「だろうな〜。すっげえイビキかいてヨダレ垂らして眠ってたからな〜」


「嘘!?」


「写真に納めときゃ良かったかな〜?」


「マジで言ってる?」


「嘘だ!」


「えっ!?」




クスクス笑う優哉。




「朝ごはん冷める前に早く来いっ!」


「分かりましたっ!」



優哉は去って行く。


私は、その前に包装された品物を開く。



「…えっ!?…嘘…これ…」



私の手元にあるのは私が、ショーウィンドウの前で気になっていた洋服だ。




「…優…哉…」





ドタドタ……


部屋を飛び出し優哉の元に駆け寄る。



「優哉っ!」


「何だよ!うるせーな!クレーム来るぞ!」




優哉に抱きついた。




「ありがとうっ!」


「何が?」


「優哉、サンタクロース様様だ!」




「………………」




「…あんな姿を見掛けたら買ってやりたくなるだろう?ショーウィンドウの前に張り付いてたら」


「ショーウィンドウ…?えっ!?見てたの!?」


「偶々だ!だから、特別だ!ほらっ!顔洗って来い!朝ごはんだ!朝ごはん!」


「は〜い」




私達は朝食にする事にした。



























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