第3話 同居人、クラスメイトに

「ただいま」




ある日のバイト帰り、部屋に帰宅する私。



「おかえり。なあ、お前、明日休みって言ってたよな?」


「えっ?あ、うん」


「何か予定ある?」


「特には」


「だろうな!彼氏いる様子もねーし。グータラ生活してるんだろうし!」


「うっさいな!で?明日が何?」


「街、案内してくんね?」


「えっ!?私が!?」


「お前以外、頼れる奴いねーし!」


「前の学校の友達いるじゃん!」


「無理!」


「えっ?県外じゃないんだろうし会えるでしょう?」


「俺が知らない街を案内してどうすんだよ!俺が、案内して欲しいって、お前に頼んでいるんだから!」


「まあ…そうだろうけど…」


「とにかく頼む!」


「分かった!」


「サンキュー」





次の日、私達は出掛ける。



その途中――――



「あれー?痲由ちゃん?」

「あっ!果菜ちゃん?」


「隣の男の子…もしかして…彼氏?」

「えっ!?ち、違うよ!」


「同居人です!」



笑顔で好印象を与える優哉。




「同居人?」

「うん」

「9月から編入する者です」

「へえー…宜しくね!」


「こちらこそ」

「じゃあね!」

「うん!またね!」



私達は別れた。 



「今の子、クラスメイトの子で入学式に声かけてくれて仲良くなって友達なんだ。絖瀬 果菜ちゃんって言うの」


「そうか」


「うん。あっ!そうそう!うちの高校、入学式に気付いたんだけど美男美女が揃ってて…」


「へえー」


「そんな優哉もモテ系だよね」


「えっ?」


「性格はともかくとして、他は問題ないじゃん!」


「性格悪くさせてんのお前だから!」


「どうして?私は何もしてないんだけど」


「お前、全てが駄目駄目だから」



そう言うと、イタズラっぽい笑顔を見せる優哉。



「なっ!言ってくれるね!優哉!」


「事実じゃん!初対面であの部屋見れば一気に、お前のイメージ土砂崩れ並みにイメージダウンだから!」




私達は、騒ぎつつ街をブラついていた。





9月――――




夏休みが終わり学校が始まった。



「ねえねえ、痲由ちゃん、彼、元気?」

「彼?」

「同居人だっけ?」

「あー、うん。元気だよ。今日、転入生としてうちの学校に来る予定なってるけど」


「あ、そういえば、そう言ってたね?彼、カッコイイよね?」


「まあ、悪くはないと思うけど…どうかな?」




そして、私達のクラスに転入生として現れた。




「えっ!?同じクラス!?」






まさかの偶然。


優哉の人気も高く、男友達も増えていき心配する事なく楽しいスクールライフを送っていた。





ある日の事。




「優哉、良かったね?モテモテで、友達も出来て楽しいスクールライフを楽しんでるみたいだし心配するまでもなかったね」


「ああ、お陰様で。だけどさー、俺…女いらない!」


「えっ?やだ…もしかして優哉…男が良いの?」


「まっさかー、俺、女はお前だけで良い」






ドキッ


胸が大きく跳ねた。




「えっ…!?」


「な〜んて!お前に、そんな気あるわけねーだろ!バーカ」



イタズラっぽい笑顔を見せる優哉。




「なっ!ムカつく!」


「何?何?もしかして期待した?」


「だ、誰がっ!第一、こっちからお断りだよ!あんたみたいな奴!」


「意地張っちゃって〜」


「違います!」





私達は騒ぐ。





「それより、うちらの事バレたらヤバイよね?」


「あ、だろうな。つーか、お前バイトの心配しろよ!」


「えっ?バイト?」


「お前、無断バイトしてんだろ?せっかく親が一人暮らしさせてくれて行かせてもらってるなら気を付けて過ごさねーと」


「まーね。裏方のバイトしてるけど油断出来ないんだよね。いや…でもバイトよりも一人の男と女が同じ部屋にいるとかヤバイよね?」


「この際、親公認で結婚前提で、お付き合いしてます!宣言しとく?」


「あのねーー!」


「面白そうじゃん!」


「辞めて!第一、私だって選ぶ権利あります!あんたみたいな性格悪男と結婚なんて冗談じゃないから。喧嘩が絶対絶えない!」


「そこまで言うかっ!」

「言いますぅーっ!」



私達の夜は更けていく。








ある日の事。




カチャ


お風呂の脱衣場のドアが開く。



「きゃあああっ!」


「うわあぁぁぁ!悪いっ!」



ドアが思い切り閉めまる。



「つーか!な、何でいんだよっ!お前バイトの時間だろ!?」




ドア越しから言う優哉。




「ひ、暇だから早くあがれたの!」



入れ替わる私達。



「…ごめん…一言、声掛ければ良かったね…」


「いや…俺こそ…悪い…」



異様な空気が流れる中、優哉が入って行き始める際に…




「お前、案外スタイル良いのな」



かあああああ〜っ!



「………!!!」



恥ずかしいのと同時に見られた!という思いで、お風呂上がりなのに尚更、一気に顔が熱くなった。



「し、し、信じらんないっ!」


「好きで見たんじゃねーし!ジコだジコ!」


「最低っ!」


「知るかっ!」




「………………」




《マジ最悪……》






















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