第2話 萌芽
何も見えない。暗闇だ。おかしいと思ったんだ。ずっと暗いままだし、どうにも体を動か
せてる感覚がない。
四肢欠損かとも思ったが、違うようだ。感覚で分かる。だがどうしてずっと暗闇にこうして投げ出されているのか。謎だ。しかしどうも怖くはない。人間、一人きりで闇にいれば、不安感や恐怖に呑まれそうになるが、どうもここは暖かい。一言、心地良い。それに尽きる。
炬燵とか、冬の日の朝寝坊くらいだろうか。
時折、水落なのか、ぴちょんぴちょんと水が滴る音が聞こえる。感じると言った方が合っているのか、兎に角絶えず落ち続けているようだ。
実はこの状態がもう2日は続いている。うとうとと、半覚醒状態がずっと続いているような感覚で、起きていられるだけ起きていようと意気込んでやっているが、特に変化はない。
もういっそ深く眠りに就こうか。根を張るぐらい寝て、そこから動こう。
ーーーーーー
あれから何日経ったのだろうか。見渡せば壁、壁、壁、壁。そして天井。天を仰ぐ。やはり天井、天下唯我独尊。なんだこの、これは、石の壁か?凹凸がうっすらと見え透いている。
四つの壁の内三つが揺らめいているところがあるのも気になる。丁度壁の中心部だ。
というか目線が
ーーー痛!?目線が低いって言おうとしたけど痛え!いや痛くないぞ、誰も話し相手いないのに事象盛っちゃったよ。痛くはなかったけど、すごい首がずんってなったよ今。首折れたレベルの勢いあったよまじ。大マジ。
あとさっきから、本当に最初は気付かなかったんだけどね、部屋の真ん中、そう丁度中心。そこだけなんか色濃くないか。いや視力には自信がある方なんだけど、なんか感覚的なものなのか知らないけど違和感があるんだよな。ほんとに気のせいなら気のせいであってくれ。違和感であってくれ。
というか僕は一体なんなんだ、何でまともに視界もないんだ。頼む、頼むから、誰か僕に僕を教えてくれ。
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