転生して草
@yutaka4240baker
第1話 天が穿つ
どうも御紹介に預かります、草薙剣と申します。此度、私、転生致しました。
しかしながら、人間不思議な物で、目の前に金の延べ棒があって、おいそれとそれを本物だと信じて疑わずいることは不可能な訳です。
それは私も例外ではなかったということでしょう。
この世に生まれて早14年、そういう造詣には長けていると自他共に認められる程であった筈なのに、今目の前の超常を信じられずにいる。果たしてこれが本当に自分なのか、それを確かめるためにはまず自分自身を見つめ直さなければならない。
そもそもなんでこんなことになったのか、まずはそこから整理していこう。
その日は雨で、どこか無性に嫌気の差す、そんな雨の日だった。僕の住む町は人通りが少なく、また商店街などと呼ばれる大通りもなかったため、人の行き交いが少ない、見た目の質素な町だった。雨のせいもあり、人っ子一人いない道を歩いていた。
僕には用事があったのだ。家から徒歩40分程の道路沿いに建つコンビニへ、amazonの支払いをしに行かなければならなかった。中学生は到底、クレジットカードなど持ってはおらず、ましてや車など使える訳もない。だからこうして歩いていた。歩いているだけなら良かった。
自分はどうにも何か常にしていなければならない質らしく、この日もまた例外なく歩いていた。指を天に掲げて。
普通なら恥ずかしいだとか、気色悪いと周りに思われないだろうか、なんて思いがよぎる筈だ。しかしここは田舎も田舎、あまつさえ雨天で行き交う人も会話もない。この暇、自分でどうにか凌ぐしかない、という思いがあった。
早い話、結果としてこれが原因であった。さてと天に掲げて数十分が過ぎていた。こんなだだっ広い田んぼだらけの帰路。そこで一番高いのは。
それは突然やって来た。一瞬、閃光。ゴウオンと轟音が鳴り響く前に今に至る。
これらの情報から察するに、落雷、直撃、即身成仏の順なのは明確だろう。人間って脆いんだな。というか死んでしまったという自覚がない。
取りあえず状況の整理も出来たし、自分の顔でも見るか。混乱するのはその後でもいいだろう。まずは水場を探そうか。
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