その171、取材をしよう(5)

 覚醒、としか言いようがなかった。

 店内に入るや、レジへとずんずん歩を進めるミカちゃん。足取りに迷いがない。先ほどまで、取材をどうしようと二人で悩んでいたのが嘘のようだ。

「だいじょうぶなの?」

 たまらず尋ねる。ミカちゃんは振り向きもせず答えた。

「任せておいて」

 た、頼もしい。というか一体どうした。

 そんな彼女の堂々たる態度に感服したのか、店長の三宅さんは快く取材に応じてくれた。

「そんなこともあったねえ」

 本消失の件を尋ねると、三宅さんはおかしそうに笑った。

「何か事件でもあったんでしょうか」

 メモ帳に素早くペンを走らせ、質問するミカちゃん。完全に記者になりきっている。

 ちらり横顔を見る。本当にどうしたんだろう。 

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