その170、取材をしよう(4)

「あ」

「あ」

 本屋を出たら、牧野が立っていた。

 思わず視線を逸らす。

 この間の授業参観であんな訳の分からないことをしでかしたのだ。絶対に変なやつだと思われているはずだ。すでにクラスではトンボ親善大使の異名をとっている。いや、トンボ親善大使って何だ。

 けれど無視するわけにもいかない。とりあえず隣の源に声を掛ける。こっちもこっちでやたらと視線に棘があるように感じるが、やはりトンボのせいだろうか。

 と、背後で自動ドアがうなりをあげた。ナイス、自動ドア。

 適当な言い訳をして、場から逃げる。自分でも驚きの素早さだった。

 曲がり角でひと息つき、どさりと手提げを地面に置く。胸にもやもやが広がる。

「あー、何やってんだ、俺」

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