その159、授業参観を受けよう(12)
「さて、この時の主人公の気持ち、みんなはどう思う?」
五時間目の国語。先生の話が耳を素通りする。
チョウトンボを描き終えた、あのあと。チャイムが鳴り、うやむやにしたまま何とか自分の教室へ逃げ戻ってきた。
牧野とは、目を合わせられなかった。絶対変なやつだと思われただろうから。
よその教室に乗り込んで、昆虫の生態をまくしたてて、黒板にチョウトンボを描いて……うん、どう考えても変なやつだ。ひょっとこ怪人と同類だ。次の校内放送で流されるかもしれない。
先生の声が朗々と響く。
「主人公はきっと、もうだめだってがっくりしているんじゃないかな?」
うん、もうだめかも。
突っ伏したくなるのをこらえながらも、俺は肩を落とした。
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