その143、別荘へ行こう(14)

「ありがとうございました!」

 ミカちゃん、そしてミカちゃんのお姉さんと一緒に頭を下げた。

 メイドさんたちを従え、時田さんがにっこり笑う。

「また、ぜひいらしてください」

「はい!」

 三人、気持ちよくユニゾン。顔を見合わせて笑う。

 別荘での最終日。みな続々と帰路に着き、残るは私たちの家族だけだった。

「またね!」

 ミカちゃんが手を振る。

「うん、また」

 私も大きく振り返す。お姉さんも手を振ってくれた。

 響くエンジン音。ゆるやかに動き出した車の中、屋敷を振り返る。お祭りの後のような、何だかちょっと寂しい気分。けど――

「楽しかったな」

 助手席の父が言った。

「うん」

 ありがと――そう小さく付け足して、私は再び窓へと目を遣った。

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