その134、別荘に行こう(5)
大テーブルにマホガニーの椅子(父の談)、燭台に揺れる火。雰囲気に圧倒され、思わず隣の父に聞いた。
「ねえ、フォークとナイフって外側からとるんだっけ?」
返事がない。見ると、石像のように固まっていた。
「え、だいじょうぶ?」
「……RGRBRだ。その順番でとるんだ」
だいぶ混乱している。
「それたぶん関係ないよ」
「ナイフは右手、フォークは左手……お箸をもつ手が右でジャブを打つのが左」
物騒なことを言い出した。調度は詳しいのにマナーはからきしらしい。仕方なく母に尋ねようとしたところで、時田さんが入って来た。すっと目の前に置かれる、一膳の箸。
「マナーなどお気になさらずに」
時田さんは茶目っ気たっぷりにウィンクした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます