その133、別荘に行こう(4)

 陽はすぐに落ちた。

 美術館のような? 博物館のような? とにかく屋敷の中を喜々と見て回っていると、時間はあっという間だった。知らず灯っていたシャンデリアの明かりに、なんだかタイムスリップしたような気分。

「ふむう、あのシャンデリアは――」

 すかさずしゃしゃり出てくる父。というかなぜそんなに詳しいのか。

「ふむう、大したことじゃない」

 手を振りながらもどや顔。謙遜とは一体。

「その顔だと説得力ないよ」

「ふむう」

 あとその「ふむう」やめれ。

「楽しまれていますか?」

 振り返ると、時田さんだった。

「はい!」

 自分でもびっくりするほど大きな返事。隣で父がにっと笑う。時田さんも微笑んだ。

「晩餐の支度が整いました。どうぞ食堂へ」

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