その132、別荘へ行こう(3)

 大窓からの明かりが室内を照らす。

 白の広々した室内には、猫足のテーブルにソファ、奥には見るからにふかふかのベッド。絨毯がふわふわなのがちょっと落ち着かない。

「ふむう、ロココ調だな」

 父が聞こえよがしに呟いた。とりあえず放っておくことにする。

「ふむう、ロココ調だな」

 追加やめれ。

「18世紀に宮廷で流行った美術様式だな。西洋の美術様式は古代からロマネスクゴシックルネサンスバロックロココと変遷してて、RGRBRと覚えるんだ」

「へえ」

 思わず声をあげる。ちょっと感心してしまった。

「詳しいね」

「そりゃあ、お父さんだからな」

 あ、はい。

 ぽん、とベッドに飛び込む。やさしい弾力に包まれる。

 ふんわりと、バラの香りがした。

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