その131、別荘に行こう(2)

「ようこそお越しくださいました」

 出迎えてくれたのは、モーニングを着こなした銀髪の老人。時田と名乗った彼は、どこをどう見ても執事だった。聞けば、奥さんと二人でこの洋館を管理しているのだという。

「こんな広いお屋敷をお二人で? 大変ですね」

 母の言葉に、時田さんは微笑んだ。

「いいえ、私は旦那様に拾っていただいた身。旦那様に奉仕できるのは無情の喜びです」

 ほ、本物だ! 本物の執事がここにいる!

 目を輝かせる私に、父がどや顔を向けてきた。いや、あんたは関係ないだろ。

 あらためてホールを見回した。吹き抜けの広々とした空間はきらきらと輝いていて、それでいて気品に溢れていた。

 今日からの三日間に思いを馳せる。

 胸が高鳴った。

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