その117、買い物に行こう(11)
呆然とひょっとこを見送る。唐突すぎる展開についていけない。
そんな俺に、姉がにっと笑い掛けた。
「じゃ、あとはしっかりやるんだぞ」
「……」
返す言葉が見つからず、俯く。しっかりやろうにも、決着はすでに――
はあ、とため息が聞こえた。
「一回でうまくいくわけないじゃない」
顔を上げると、真正面に姉の目があった。
「うまくいくまでやればうまくいく。でしょ?」
ちょっと何言ってるか分からない。
す、と息を吸い、姉は思い切り俺の背中を平手打ちした。
「痛!」
「がんばれ」
じんと背中に痛みが広がる。ちょっと涙がにじんだのは、けれどそのせいだけではなかった。
――くそ、姉ちゃんのくせに。
帰路につく姉の後ろ姿を、俺はにらみつけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます