その117、買い物に行こう(11)

 呆然とひょっとこを見送る。唐突すぎる展開についていけない。

 そんな俺に、姉がにっと笑い掛けた。

「じゃ、あとはしっかりやるんだぞ」

「……」

 返す言葉が見つからず、俯く。しっかりやろうにも、決着はすでに――

 はあ、とため息が聞こえた。

「一回でうまくいくわけないじゃない」

 顔を上げると、真正面に姉の目があった。

「うまくいくまでやればうまくいく。でしょ?」

 ちょっと何言ってるか分からない。

 す、と息を吸い、姉は思い切り俺の背中を平手打ちした。

「痛!」

「がんばれ」

 じんと背中に痛みが広がる。ちょっと涙がにじんだのは、けれどそのせいだけではなかった。

 ――くそ、姉ちゃんのくせに。

 帰路につく姉の後ろ姿を、俺はにらみつけた。

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