その113、買い物に行こう(7)

 ジャパンの出口で、二人大きく息をつく。

 早くレジを済ませろという周囲のプレッシャーに、いそいそと出てきたところだ。

 振り返ると、先ほどの老人とおばさんが熱心に語り合っている。後ろには長蛇の列。心臓強いな。

 一体、あれは何だったのか。いやそれよりも――

 思い切って聞いてみる。

「もしかして、気にしてる?」

 新学期初日のけんかを。だから、会計を払おうと――

「そ、それは……」

 しどろもどろになるカッコー。図星か。けれど、なぜ顔を赤くする?

「私は気にしてないけど」

「え」

 少年の顔から血の気が引いた。……え?

「そこまでだ!」

 見ると、一人の男が立っていた。顔にはひょっとこのお面。

 私は頭を抱えた。

 ――何してんの、お父さん。

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