その88、クイズをしよう(4)

「お父さん」

 上目遣いに父を窺う。

「私のこと、分かってくれてる?」

「当たり前だろう」

 大きく胸を反り返らせる父。いやどこからくるのかその自信。

「じゃあ、問題。サンリオで私の推しキャラは?」

 さすがに分かるまい。ずるいけど、先に仕掛けてきたのは向こうだ。

 けれど、父は余裕の笑みを浮かべて言い放った。

「イチゴ頭」

 空白の後、再び私は頭を抱えた。

 ……どういうこと? あの絵がイチゴ呼ばわりされたことを知っている? だとして、なんでサンリオのキャラになった?

「勝った……俺は勝ったんだ」

「いやいや」

 意味不明な感傷に浸る父に、私は猛然と首を振った。

「ハズレ。正解はシナモロール」

「なん……だと……?」

 それはこっちの台詞だ。

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