その81、空と君との間には(10)

「こっちこそごめん」

 思い詰めた顔のカッコー。そんなに謝るのがいやか。まあ、でも――私はほっと息をついた。

「で、あんな言い方ないんじゃない?」

「いや、うん……」

 ものすごく打ちひしがれている。言い過ぎた、かな?

「さっちゃーん!」

 振り返ると、ミカちゃんが手を振っていた。位置共有アプリを辿ってきたのだろう。そばまで来ると、彼女は私たちを見比べた。何だか気まずい。と、突然手を握られた。

「私、さっちゃんのこと好きだからね!」

 いきなりどうした。

「あ、うん」

 さすがに人前だと照れる。私も、とは言えずに頷くだけ頷いた。

「お、俺、帰るし」

 逃げるようにカッコーが石段へと消える。

 えーっと……まあ、仲直りできたし。うん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る