その78、空と君との間には(7)

 ――何やってんだ、俺。

 自分でも訳が分からないまま、手足を動かす。

 後ろは振り向かない。視界の隅で牧野が追ってくるのが見えたから。

 心臓がばくばくと苦しい。もともと運動は得意ではない。でも、きっとそれだけじゃない。

 ――何で逃げてるんだよ。

 目に涙がにじむ。乱れた思考は、けれど唐突に現れた通行止めの看板によって打ち切られた。慌てて見回すが脇道はなく、右手に神社への石段があるだけだった。

 選択の余地はない。二段飛びに駆け上がる。

 拝殿に着いたところで、膝に手をついた。行き止まりだし、体力も限界だった。

「カッコー」

 後ろから彼女の声。

 もう、逃げられない。でも、何から?

 肩で息をしながら、俺は覚悟を決めて振り返った。

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