その75、空と君との間には(4)

「珍しいね」

「ん?」

 ミカちゃんの言葉に首を傾げる。背後でばか笑いが起きた。男子がふざけ合っているのだろう。

 新しい教室での最初の休み時間。どこか落ち着かない、ふわふわした空気。

「あんな怒るの。いつもなら流してるのに」

「……あー」

 カッコーのことだ。時間が経って頭に上った血は元に戻っていたが、その言葉で一気に冷静になった。

 そう、どうしてあんなにムキになってしまったのだろう?

 共通の願掛けをした戦友なのにあんな態度を取られたから? それとも励ましを無下にされたから?

 どちらにしろ。

「そだね」

 ムキになったのは自分らしくない。

 あとで謝っておこうかな。ミカちゃんと一緒になれたのはいなり寿司のおかげもあるかもだし。

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