その73、空と君との間には(2)
「号外だよ~」
昇降口前。人だかりの中心で若草色のスーツを着た女性がビラを撒いていた。のりこ先生だ。
私の学校では、クラス編成は当日朝に号外で知らされる。なんだそのしきたり。というか、生徒にとっての一大事に何をやっているのか。
「そおれ」
一際大きな掛け声とともに、大量にばら撒かれるビラ。我先にと伸びる手。これじゃあ感傷に浸る暇もない。折角の二人の空気も台無しにされイラッとしつつ、けれどつい笑ってしまいそうになった。隣でミカちゃんも口を押えている。
風に流れてきた一枚を掴み、息をつく。クラスは学年に二つ。確率は半々だ。
頷き合い、私たちは思い切ってビラを広げた。
頭上の空のように、二人の顔がぱあっと晴れた。
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