その51、それぞれのホワイトデー(3)
「いたか?」
「見失った!」
足音が遠ざかったのを確認し、俺は路地から顔を出した。
「何だよ、これ」
――要は、身元がばれなきゃいいんでしょ。
姉の言葉を思い出す。二人ともお面を被って受け渡しをすればいい――それが彼女の作戦だった。
――仮装舞踏会みたいで盛り上がるでしょ。
どころか現状、それ以上に危険な盛り上がりを見せている。仮面をつけた俺を見て、おっさんたちが血相を変えて追いかけてきたのだ。
「あれが秘密結社……でも何で」
こちらの目的がばれてる? どうして? そもそもお返しするだけなのに、なぜこんなに苦労をしなければならないのか。
とにかく、顔バレだけは避けねば。しっかりと鬼の面をつけ、俺は路地から駆け出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます