その42、チョコを贈ろう(5)

 作戦を練るまでもなく、方法はあっさりと決まった。要は、結社の構成員に目撃されずに渡せばいいのだ。

 目の前にはカッコーの家。在宅しているのは彼だけとの事前確認も済ませてある。

 周囲を警戒しつつ、ミカちゃんがそっと顔を寄せてきた。

「わざわざここまでする?」

「何だか楽しくなってきちゃって」

「分かる」

 くすくす二人笑い合う。「お礼をする」という当初の思惑からはだいぶずれてしまった気もするけど、まあいっか。

 ポストにチョコの包みを投げ入れ、インターホンを鳴らす。

 どたどたと響く足音を背に、全力で走り出す。いつの間にか、私は笑い声をあげていた。ミカちゃんもおかしそうに笑う。

 伸ばした二人の手が、小気味いい音を立てた。

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