その41、チョコを贈ろう(4)

『カッコーって妹かお姉さんいる?』

 あいさつもそこそこに牧野が聞いてきた。受話口から彼女の声がした時は驚いたが、この質問も訳が分からない。

「うちの姉ちゃんがどうしたんだよ?」

『あ、いるのか』

「いや説明しろ」

 牧野によると、娘を持つ父親たちの秘密結社が暗躍しているらしく、後々面倒にならぬようにチョコを渡すのが一苦労なのだという。

 やっぱり意味が分からない。大の大人がそんなことするか? というか秘密ばれてるぞ、秘密結社。

『とりあえず作戦練るわ』

「あ、おい」

 止める間もなく電話は切れた。仕方なく受話器を置く。せっかくだし、もうちょっと……

 と、そこで気づいた。『作戦練るわ』ってことは――

 とくん、と心臓が跳ねた。

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