第7話未来
10年後
「さっさと行くぞ京介!」
「待ってよ向日葵ちゃん!僕たちはパスがあるから急がなくても乗れるって!」
急ぐ瀧川向日葵、いや吉川向日葵の後ろを沢山の荷物を持ってせこせこ進んでいる京介。あれから長い月日が経って僕たちはお互いに楽しい「思い出」を作り続け、最高の人生を送っている。あれから一度も自殺をしようとした事はなく、むしろ前よりパワフルになって僕を引っ張っている。高校を卒業して僕が大学生、彼女が就職をしてお互いに中々会うことが難しくなったがそんな状況でも彼女は関係を壊すことなく、なんなら付き合うことになったのもそういった状況の中でのことだった。付き合って5年。相変わらず楽しい関係が続いていたが、僕が彼女にプロポーズをすると、より一層最高の関係になれた。ああ家族ができるってこんなに幸せなことなんだなと身をもって感じている。そんな彼女の頭上に浮かぶのは僕たちが一緒に過ごしてきた最高の「思い出」だ。
「何ボーッとしてんだよ。あれに遅れちまうだろうが。」
「だから僕たちにはパスが。」
その時いつの間にあったのだろうか、頭上には大量の水が入った大きなバケツがあった。
「え、え、あれってまさか。」
「来るぞー!!」
大量の水が僕たちをびしょ濡れにした。すごく暑かったからちょうどよかったが少しびっくりした。
「はー!気持ちいーな!7月って前からこんな暑かったっけ?」
「暑いよ。僕たちが出会った夏もアツかったでしょ?」
ちょっとキザなことを言ってみた。するとそれに気づいたのか向日葵ちゃんは、
「すっっごい激アツだったなー、私達の夏!」
さらに上から僕を茶化してきた。
「あれ?てかなんでこんな暑いのに京介、長袖なんか着てんだよ?」
「ああこれ?日焼け対策だよ。」
「ふーん。そっか。じゃ次あれ行こーぜ!」
「だから待ってよー!」
僕はこれからもこの向日葵という大切な女の子と最高の人生を送っていきたい。
未来の「思い出」 江戸川ナオ @sherlock4869
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