第5話予兆

 夏休みのある日、僕と瀧川さんは健の死の真相を探るべく会議を開くことにした。のだが、集合場所の公園に瀧川さんが来ない。暑いんだから早く来てほしいものだ。待ち続けて1時間が経過した。さすがに耐えられず事前に家の場所は聞いていたので行ってみることにした。瀧川さんは僕をパシるために自分の家を教えていたのだ。そういえば瀧川さんの家族についての話は全然聞いたことがないがどんな家族なのだろう。想像するだけでも怖そうな家族が頭に浮かんでくる。10分ほど歩いてようやくついたのでインターホンを押してみたが応答はない。あーあ、逃げられた。そう思ったが、何だか嫌な予感がしてドアを開けると鍵がかかっていない。

「失礼します。誰かいませんかー?」

応答はない。おかしいな、途中ですれ違ったのか?いやそもそも誰もいないのに開いてるのはおかしいよな。するとお風呂場から少し物音が聞こえた気がした。

「あのー、瀧川さん?いらっしゃいますかー?」

お風呂場ということもあり少し緊張しながら進んでいくとどうやらシャワーを浴びているらしい。

「すいません、ここまで来てしまって。でも時間だいぶすぎてますよ?」

怒られるのを覚悟でちょっと挑発的に言ってみた。が、なんと応答もない。

「ほらー、そんなになんも言わないと開けちゃいますよ?」

とかも言ってみた。しかし何も返って来ない。なんだか嫌な予感がした。健には「思い出」が見えなかった。もし死んだ理由がそれなら瀧川さんは。怒られてもいい。決心してドアを開けると手首から血を流した瀧川向日葵がいた。

「瀧川さん!!」

すぐに駆け寄り状況を確かめる。すると今回の傷とは思えないようなカット痕がいくつか目に入った。こんなの一緒に居て一回も気づかなかったな。そんな事を思ったが、とにかく今は他の事を考えている暇はない。僕は傷口を手で押さえながら必死な思いで救急車を呼んだ。もう周りの人に死んでほしくない。特に君だ。瀧川向日葵。君はいつしか僕のかけがえのない人になっていた。

「生きろ!瀧川!こんなとこで死ぬんじゃねえ!生きてくれ!!」

そこから少し経って救急車が到着し病院へ向かった。

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