TOP SECRET…END

 私のトップシークレット、それはあと余命がだということ。

 余命宣告を受けたのは5年前、そして、今年で5年。

 今こうして生きているので、余命5年は何とか超えられたみたい。

 でも、もうすぐこの命の終わりが来るのだとこの1年の間で何度か感じた。

 私の命のタイムリミットは、もうそこまできているのだろうか。


 余命5年が過ぎた頃、私は病気が悪化して緊急搬送された。

 それで、に全部バレてしまった。

 本当の私を知ったは、酷く自分を責めていた。

 そんなの姿を見て、私の選択は間違っていたのかもしれないと気が付いた。

 私は、記憶喪失になったを利用して、恋人ごっこを楽しんでいた。

 病気の事を話していたらがここまで自分を責めることはなかったのかもしれない。

 が記憶喪失になった時に、もう他人として生きれば良かったのかもしれない。

 今となっては、これまでと過ごしていた自分の人生が全部間違いだったのかもしれないとまで思えてくる。

 

 本当は、入院するレベルなのだが、私はもう治療ではなく緩和ケアに切り替えた。最期に家にいたいのはわがままだろうか。助かる確率がほぼゼロで明日死んでもおかしくないこともわかっていた。だから、もう最後の最後まで間違った選択でもいいからと一緒にいる時間、に触れて、触れられて、声を聴いて、最期は一緒にいたいと心から願った。


 私はベッドに寝たきり状態で、酸素チューブやら点滴の管やらが体に繋がっている。これらのお陰で今の私を何とか維持している。一番は鎮痛剤のお陰だ。

 

「お、にぃ…ちゃん、」

「ん?」

「だ、だい、すき…」

「うん、俺もだよ、」

「…ん、」

「ずっと傍にいるから、安心して、」

「…うん、」


 が交通事故に巻き込まれて記憶喪失になって、私のことだけ忘れてしまった時は、とても悲しくて寂しい気持ちだった、でも、同時に、何故かホッとしている自分もいた。たぶん、今までみたいに必死に隠さなくていいと思ったから。

 笑っている妹の姿だけ覚えていてくれれば、それだけでいい。

 それなのに、こんなことになってしまったのは自業自得だろうか。

 もし、神様がいるなら、本当の姿は悪魔だと思う。


 こんな姿をに見られたくなかった。

 さっさと死んでしまいたいと何度も思った。でも、その気持ちと同じくらい、まだ生きての傍に居たかった。を感じていたかった。


わたし、欲張りかな…


 は、いつも傍にいてくれた。

 記憶を取り戻してからのは、優しく微笑みながら温かい大きな手で介抱してくれる。

 私は、この時間が大好きで大嫌いだ。

 もう、自分一人では何もできない。に申し訳ない気持ちでいっぱいで泣くのを必死に堪える。


 自宅で緩和ケアを始めてからどれくらいがたったか、私はほとんど寝ていることが多くなり、1日がとてつもなく長く感じるようになった。

 陽が昇ってから夜になるまで生きていることがしんどいと思うようになった。

 

 おそらく、私は本当にもう死ぬらしい。


 この人生には後悔も未練もあり過ぎるのだが、私はもうをこれ以上苦しめたくない、もう自由になって欲しい、私のわがままを聞いて、自分を犠牲にさせてしまって、ごめんね。

 最後の最後までわがままな妹でごめんね。


「おに、ちゃん、」

「ん?どうした?」


 私は、ベッドから出て、ソファに座りたいとお願いして、運んでもらった。

 外は太陽がキラキラ反射してとても綺麗だ。でも、きっと寒いのだろう。

 私はに寄り掛かってゆっくり呼吸をする。

 呼吸いのちを感じながら、の温もりを感じながら、にこれだけは最後に伝えなければならない言葉おもいを伝えるために、最後の命を振り絞る。


「私、お兄ちゃんの妹で幸せだよ、」


 私が最期に見た彼の顔は、笑顔なのに泣いていた。

 そして、彼は私を抱きしめながら私の名前を何度も何度も呼んでくれた。

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「私の秘密告白します。」~妹のブラコンが異常な件についてちょっときいてくれないか。スピンオフ~ 我琉 澪 @GaRLe

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