love at first sight...
こんにちは。告白者の【my first love is destiny】です。
天使との運命の出会いから、かれこれ5年ほど経ちます。初めて出会ったあの日のことは今でも鮮明に思い出せます。あの頃のボクが、これが恋だということも運命だということにも気が付くのは少し経ってからでした。ですが、今のボクが振り返ってみれば初恋で運命だったとわかるのです。
今回は、愛する天使との出会いについて語ります。有難く聞け!
※天使=「妹件」主人公の”妹”。
――――回想――――
約5年前のあの日、ボクは病院に居ました。
数時間前に、ジャングルジムで遊んでいたのですが、足を滑らせて落ちました。すると、右腕が痛くて、泣くほど痛くて急いで近くの病院へ行きました。
診察の結果、ボクの右腕は綺麗に骨折してました。念のため、脳の検査をすることになり検査入院することになりました。ボクは人生初めての入院で、不安と心配な気持ちをを持ったまま、夜を迎えました。
ボクはなかなか寝付けません。枕も布団もあるだけ有難いですが、ボクには足りないのです。アレが無いのです。ボクは、いつも寝る時にアレと一緒に寝ています。そう、”抱き枕”です。柔らかすぎず硬すぎないボクのオリジナルの抱き枕がありません。
あの抱き枕の代用品がこの世に存在しないことは、ボクが一番わかっています。唯一無二の、世界でたった一つだけのオリジナルのボク専用の抱き枕なのですから。このまま寝ずに朝を迎えてしまったら、コンデションの悪い状態で検査を受けなければなりません。
((どうしよう・・・見回りは誤魔化せても、精密機械は騙せないよ、))
そんなことを考えだしたら余計に眠れなくなってしまったので、巡回が来た後にこっそり抜け出して、お手洗いに行くことにしました。
相部屋なので音に気を付けて部屋を出ます。夜の病院の廊下は少し不気味です。いや、かなり不気味です。正直怖いです。はやく用を済ませて相部屋に戻りたいです。無事、お手洗い場に着くと、先に他の患者さんがいました。
「・・・こん、ばんは、」
「ぁっ・・・こ、こんばんは・・・」
急に話しかけられて、驚きましたが、それ以上に彼女の姿に目を奪われました。純白のふわふわパジャマを着た彼女はまるで天使のようです。しかし、その体には数本の管が繋がれていました。ボクはそれを見て、美しいと思っていたのです。彼女は、自分の姿を見られてしまったことが嫌だったのか俯いてしまいました。しかし、ボクは、そんな彼女に向かってつい心の声が漏れて言ってしまったのです。
「かわいい・・・天使みたい、」
しまったと思った時はもう遅く、俯いていた彼女は顔を上げ、ボクの眼を見て言うのです。
「えっ?・・・今、なんて言ったの?」
「あっ・・・ご、ごめんなんさい!む、無神経なことを・・・」
「いえ、聞き取れなかったので、もう一度お願いします、」
ボクが躊躇していると、彼女がゆっくりこちらへ来て「もう一度、お願いします。」と言った。ボクは、目の前に来た彼女のオーラに負け、ボソッと言う。
「・・・か、かわ、かわいい、な、と・・・て、て、てん天、使ぃ、みたい、と言いまし、た・・・」
すると、彼女が左手をスっと上げたので、僕は殴られると思い覚悟しましたが、なんと、彼女は僕の骨折している右腕にそっと触れたのです。
「これ、痛かったですか?」
「えっ?あ、えーっと・・・はい。」
「骨折ですか?どうして?」
「・・・じゃ、ジャンぐゅ・・・えっと、階段から、落ちました・・・ははは、」
((いい大人が、ジャングルジムではしゃいで足滑らせて落ちて骨折したなんて、恥ずかしすぎて言えなくてとっさに嘘をついてしまったー・・・))
「利き腕ですか?」
「あ、はい、」
「日常生活、不便じゃないですか?」
「あーそう、ですね、((何の質問!?))」
「手伝えることあったら、何でも言ってください。」
「((手伝い!?な、なんで!?))・・・いや、そんなつもりで、」
「あっ、ごめんなさい、初対面でこんなこと言われたら、怖いですよね・・・」
「いや、そんなことは・・・でも、どうしてかなー?とは、思っちゃいました・・・」
「私に、初めて言ってくれた人だから、」
ボクが分からずきょとんとしていると、彼女が言った。
「・・・かわいいって、天使だって言ってくれたことです。嬉しかったです、本当に、」
彼女の照れながらも嬉しそうな顔をみて、ボクはほっとした。
「そう言って頂けて、安心しました。てっきり、気分を害してしまったかと思っていたので・・・」
すると、彼女は急に涙を流しながら話し始めた。
「うぅ・・・わ、私、この姿、見れるの、もう慣れてると、全然平気だって、言い聞かせて、ました・・・でも、本当は、こんな醜い姿、誰にも、見られたく、ない・・・本当は、イヤなのっ・・・自分の姿を鏡で、見るたびに、早く死にたいって、今日死のうかなって、毎日、そんなことばかり、考えちゃうんです、(鼻をすする)」
彼女のこれまでの辛さ苦しさ悲しさを理解できる人間なんてきっといない。「大丈夫だよ」、「きっと治るよ」なんて簡単に言えない。今のボクには、死にたくなるほど毎日闘っている彼女に対しての言葉がわからない、みつからない。やるせない気持ちで胸がいっぱいになった。
今のボクができることは、初対面のボクに寄り掛かる彼女を左腕で精一杯抱きしめながら背中をさすることしかできない。
目の前で、こんなに苦しんでいるのに泣いているのに、さっき初めて会ったボクなんかに胸の内を話してくれたのに、ボクは何もできない。
((なんて無力なんだ。))
「・・・ごめん、なさい、初対面でこんなこと聞かせてしまって、」
「ぼ、ボクに、で、できることが、あ、あれ、あれば、何でも言ってください!」
「本当に?・・・なんでも?」
「は、はい!なんでも!」
「じゃぁー、」
((もう、どうにでもなれ!))
「私と、友達になってください。」
「はい!喜んで!((・・・え?トモダチって、あの友達であってるよね?))」
「えへへへ///やったー!」
「あの、トモダチですか?・・・ぼ、ボクと?本当に?」
「ホントです!なかったことにする気ですか!?」
「い、いえ、そう、ではなくて・・・ぼ、ボクと、なんか、」
「”僕なんか”なんてって言わないでください。私が、あなたと友達になりたいって思ったんです。自分で何でも言ってって、言いましたよね?」
「・・・はい、す、すみません。」
「許します。(笑顔)」
「((さっきも思ったけど、笑顔が可愛すぎて、直視できない・・・))よ、よろしく、お願いします。(引きつり笑顔)」
「無理に笑顔つくらなくていいですよ。嘘っぽくて怖いです。」
「・・・((ストレートだなー、))ははは、」
この後、巡回中の看護師さんに見つかって二人とも怒られました。彼女は勝手に病室を抜け出していたみたいで、看護師さんに連れて行かれました。ボクも看護師さんに優しく注意を受けながら病室に戻り、ベッドに横になった。
((明日も、会えるかな・・・))
次の日、脳の検査を終えた後、ボクは先生や看護師さんに彼女のことを聞きましたが、皆口を揃えて「個人情報だから教えることはできない」と誰も教えてくれませんでした。きちんと個人情報が守られている病院だと思いましたが、これでは、彼女に会うことができません。ボクは、彼女を探すため病院の中を歩き回りました。しかし、彼女の姿はどこにもありません。もう、退院してしまったの可能性もあり得ます。そして、最悪のシナリオが頭の中で再生されようとした、その時、ボクの眼に彼女の姿が映りました。
「あっいた!・・・ま、待って!と、友達!友達さん!待ってくださーい!!」
ボクは、病院内だということをお構いなしに彼女に向かって叫んでいました。
彼女は、声を探すように前後左右をキョロキョロしています。ボクは、彼女に向かって走りだします。
「・・・やっと、みつけた、はぁ、はぁ、」
「(小声)病院だから静かに、走っちゃだめだよー。また階段から落ちたらどうするの。でも、会えてうれしい。私の事探してたの?」
「は、はい。ごめんなさい。・・・探しました。」
「あなたのお部屋に行ってもいい?」
「は、はい!も、もちろんです。」
「相部屋?」
「はい、相部屋です。」
「いいなー、」
彼女は、鼻歌を歌いながら相部屋まで一緒に行き、ボクが使っているベッドの上に座った。この後、彼女と他愛のないおしゃべりをして、帰る前に彼女と連絡先を交換した。
「えっ!?もうこんな時間!私、戻らないと怒られちゃう、じゃぁ、またね!」
「((やばい、叫びたい、この喜びを、))・・・うん!ま、またね、」
この日、脳に異状はないという検査結果が伝えられ、次の日退院手続きをして、午後退院した。そのことを彼女に連絡したがまだ返事が無い。
彼女から返信が来たのは次の日の夜だった。
彼女>退院おめでとう。
私が退院したら遊びに行こうね。
階段、気を付けてね。
私>ありがとう。
楽しみにしてる。
十分、気を付けます。
それから、しばらくして彼女も退院し、より深い付き合いが始まりました。
――――――――
で、ボクがいつ、どのタイミングで彼女のことを天使だ、運命の出会いだと思い始めたかと言いますと、出会ってすぐ「天使」だと思い一目惚れをしていました。そして、なんと彼女の退院日が僕の誕生日でした。もうこれは「運命」と思ってもいいですよね!?
「あの時の天使も、最高に可愛かったなぁ・・・うへへ(ニヤニヤ)」
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