藁人形 2

 カランコロン


 「おやまぁ、本日はたいそうお可愛いお客様だこと」


 店の奥の女店主が少女に声をかける。今日はどうやらお気に入りの黒に白色が浮き上がった模様がついた着物を着ているようだ。


 「あの、ここはどういうお店なんですか?」


 私が思うよりしっかりとした言葉で少女は女店主に聞いた。


 「ここは、よろず屋うろん堂と申しまして、まぁ、なんでも屋でございます」


 「なんでも屋?」


 「はい。お気になるものがありましたら、どうぞご覧くださいませ。ただし、そのものが貴方様をお気に召さぬ場合、いくら欲しいものでもお売りすることはできませんので、その辺りご了承いただけましたらぜひに。店にでてないものもありますので、ご希望の品がありましたら私に聞いてくださいまし」


 少女は不思議な顔をして、でも好奇心もあり、ごちゃごちゃと狭い店内を歩いてみる。女の人を描いた絵、古いキラキラした瓶、蝋燭、ちょっと怖い人形。


 少女は、ここはちょっとなんだか怖いなと思ったのか、


 「ありがとうございました」


 と言い、店を出ようとしたが、


 「何をお探しだったんですか? よかったらお聞かせくださいまし」


 と女店主が声をかけたので、少女は立ち止まり、女店主の方に振り向いて一瞬躊躇いながらも、小さな声で聞いた。


 「なんでも置いてあるというならば、偽物でもいいから、お父さんとお母さんなんて、置いてないですよね?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る